済州(チェジュ)の浜辺で茶製品に偽装した麻薬類が見つかった。済州で発見された麻薬類の数はこれで12個目。韓国海洋警察は、麻薬類が東南アジア地域から海流に乗って済州の海に流れ着いた可能性に重きを置いて捜査している。
済州地方海洋警察庁は12日午後、済州市の牛島面演坪里(ウドミョン・ヨンピョンリ)で約1キログラムずつ包装された麻薬類と疑われる物体2個を回収したと、13日に明らかにした。11日、牛島の浜辺を清掃していた「海の環境保護人」(海岸の浄化活動をする期間制労働者)が約1キロの麻薬類と疑われる物体1個を発見し申告した後、その翌日に西帰浦(ソグィポ)海洋警察署が捜索過程でさらに2個を見つけたと、済州海洋警察署は説明した。これらの麻薬類の疑いのある物体はまだ検査前だが、すべて中国製のウーロン茶の包装紙に包まれていた形態からして、向精神薬であるケタミンと推定される。
牛島で見つかった3つの物体がケタミンと確認されれば、9月29日から済州の海岸で回収された茶製品に偽装されたケタミンの数は計12個となる。重さは計約31キロで、103万人が同時に使用できる量だ。
包装紙の形態は2種類で、緑色のウーロン茶の袋と銀色のお茶の袋に分けられる。11個はケタミンが約1キロずつ包装されており、1個は約1キロのケタミン10個がエアーキャップにまとめて包まれていた。
済州島の外でも似たような物体が相次いで見つかっている。先月から慶尚北道浦項市で計3回、日本では2回、茶袋に偽装された麻薬の疑いのある物体の申告があった。済州海警は、台湾と日本を経て韓国の南海(ナムヘ)と東海(トンヘ)に流れ込む黒潮などの影響で、ケタミンが済州の北側海岸に流れ込んでいるものと推定している。もし東南アジア地域で海流に乗って麻薬類が流入したとすれば、済州に流れ着くのに約2カ月ほどかかるという。包装紙に漢字が書かれているため、漢字文化圏で流通している麻薬であると海洋警察は推定している。
済州海警は米国、中国、オーストラリア、日本、シンガポール、カンボジア、台湾、タイなどで似た事例があるか問い合わせている。済州海警の関係者は「国内で茶袋に偽装された麻薬が発見されたのは今回が初めてだが、4月にカンボジアでも同じ形態の麻薬が取り締まりを受けた事例がある」とし「下(東南アジア地域)の方から流れてきたということに重きを置いている」と説明した。
見つかったケタミンからはまだ有意な手がかりは見つかっていない。ただ、済州海警は麻薬の疑いのある物体を見つけた人たちがきちんと申告しており、特別な情報もないため、まだ済州地域にケタミンが流通してはいないとみている。済州海警の関係者は「包装紙から指紋や遺伝子(DNA)が発見されておらず、包装紙一つから毛が発見されたが、毛根がなく手がかりとして活用できない」とし「見つかったケタミンの成分が一致するか、成分配合のやり方からどの組織が作ったのかを推定できる『麻薬指紋』があるかを確認中だが、分析に2カ月かかるという」と話した。
済州海警は17日、官民合同で済州海岸での麻薬捜索作業を行うことにした。