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金正恩氏とトランプ氏、会談実現の可能性は…2019年の「突発会談」と似た状況

登録:2025-09-28 21:55 修正:2025-09-29 12:11
ドナルド・トランプ大統領(左)が2019年6月30日、板門店で北朝鮮側へと境界線を渡り、北朝鮮の金正恩国務委員長と対面している/AP・聯合ニュース

 10月末に慶州(キョンジュ)で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議まであと1カ月。朝米首脳会談が実現するかどうかに関心が集まっている。ドナルド・トランプ大統領は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との年内の会談を望んでいることを表明しており、金委員長はトランプ大統領との「良い思い出」に言及しているため、朝米首脳会談の開催に対する期待が高まっているからだ。カギは、金委員長が対話の前提条件として掲げている「核保有を認めること」をどのように扱うかだ。

 韓国政府の高官は26日(現地時間)、米ニューヨークで韓国メディア各社の特派員に対し、APECを機に朝米首脳会談が行われるかどうかについて、「今は断定的に申し上げることは難しい」としながらも、「しかし、可能性を排除することはできないと思う。起こり得ることであり、そうなることを願いながら見守っていく」と述べた。チョ・ヒョン外交部長官もこの日公開されたAP通信とのインタビューで、「彼ら(トランプと金正恩)が近い将来に会ったらファンタスティックだ」と期待を示した。政府は南北対話を進展させるために、朝米首脳会談でひとまず突破口を開くことが重要だと考えている。

 問題は、北朝鮮が対話の前提条件として掲げた「核保有を認めること」の是非だ。朝鮮中央通信は28日、金委員長が前日に核関連の科学者と技術者に会い「強い抑止力、すなわち核武力を中枢とする力による平和維持、安全保障論理は、私たちの絶対不変の立場」だと語ったと報道した。核保有国として認めれば米国と対話しうるというメッセージを金委員長が発したにもかかわらず、韓米政府が「朝鮮半島の非核化」に言及したことに対し、改めて核放棄はあり得ないことを強調したとみられる。金委員長は今月21日の最高人民会議での演説で、「私は、まだ個人的には現米国大統領トランプについての良い思い出を持っている」とし、「米国が非核化の執念を捨て去り、真の平和共存を望むなら、米国と向き合えない理由はない」と表明している。

 だが、トランプ大統領は従来の外交の文法に従わないだけに、2019年の突如の会談が再現される可能性は排除できない。2019年6月30日、トランプ大統領は主要20カ国・地域首脳会合(G20サミット)の直後にツイッターで金委員長に「ちょっと会おう」と提案し、突如として板門店(パンムンジョム)で朝米首脳会談が実現している。トランプ大統領は、初めて北朝鮮の地を踏んだ現職の米国大統領として記録された。

 専門家は、今回の北朝鮮閣僚による訪中に注目すべきだと分析した。北韓大学院大学のヤン・ムジン教授は「金正恩委員長の訪中に続き、北朝鮮のチェ・ソンヒ外相も中国の王毅外相と単独会談の日程を決めた」として、「過去の経験から考えれば、朝米の対話を前にして、北朝鮮から金委員長が自ら出向くか、あるいは閣僚級が訪中して説明したという経験があるため、朝米首脳会談を念頭に置いているとみられる」と語った。今月初めに金委員長が中国の戦勝節を機として訪中したのに続き、チェ外相も27日から4日間の日程で北京を訪問している。

 ヤン教授は「北朝鮮の『核保有主張』と韓米政府の『非核化』には折衷点がないと考えてしまうと、一歩も進めない」として、「李在明(イ・ジェミョン)大統領も『3段階非核化論』(中止→縮小→廃棄)に言及している。廃棄までには時間がかかるだけに、第1段階で中止、最後の段階で非核化に合意することもありうる」と述べた。トランプ大統領は2期目の就任初日、北朝鮮を「核保有国(nuclear power)」と表現し、波紋を呼んだこともある。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1221162.html韓国語原文入力:2025-09-28 17:10
訳D.K

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