高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が「(海兵隊員)C上等兵殉職事件」外圧疑惑での初の家宅捜索を終えた翌日に、韓国外交部がイ・ジョンソプ元国防部長官の大使任命のための「アグレマン(同意)」をオーストラリア外務省に要請していたことが確認された。C上等兵事件の捜査が本格化したことでイ元長官を在外公館に逃がそうとしたという「逃避疑惑」がさらに膨らんでいる。
25日のハンギョレの取材によると、韓国外交部がオーストラリア外務省にイ元長官の駐オーストラリア大使への任命へのアグレマンを要請したのは昨年1月19日。アグレマンとは、駐在国が他国の公館長の任命に同意する手続きのこと。
当時は、公捜処によるC上等兵事件の捜査が本格化していた。公捜処は昨年1月16~18日、イ元長官の秘書室長役だったパク・チンヒ国防部軍事補佐官、ユ・ジェウン同部法務管理官、キム・ゲファン海兵隊司令官(いずれも当時)の執務室や自宅などを家宅捜索した。共に民主党が2023年9月にイ元長官らを公捜処に告発して4カ月後に実現した初の家宅捜索だった。外交部は家宅捜索の翌日(1月19日)、イ元長官のアグレマンを非公開で要請し、1カ月あまりたった3月4日にイ元長官を大使に任命したことを発表している。
大使の任命権者である尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領(当時)は昨年5月9日の記者会見で、「どこかに告発されたということだけで人事を行わなくなると、公職者の人事は非常に難しくなる」と述べ、イ元長官の駐オーストラリア大使への任命を正当化した。イ元長官を小さな事件の被告発人のように表現したものだが、イ元長官は昨年1月の家宅捜索令状に職権乱用の容疑者として示されている。家宅捜索の対象者は彼の側近が中心だった。
イ元長官のアグレマン要請の日付が公捜処の家宅捜索の直後であることが確認されたことで、尹前大統領の職権乱用および犯人逃走ほう助容疑についての捜査も本格化する見通しだ。同事件は現在、公捜処捜査3部(イ・デファン部長)が担当している。
外交部はこの日、C上等兵事件の捜査が本格化したことでイ元長官のアグレマンを要請したのかというハンギョレの質問に対し、「事実ではない」と述べた。