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【韓国大規模山火事】ヘリコプター総動員しても…「火は広がるばかり、力が抜ける」

登録:2025-03-28 06:49 修正:2025-03-28 08:40
大型山火事にヘリや装備不足、疲労溜まり苦しむ現場要員ら 
ヘリ墜落で空中消火が中断されると茫然自失
26日午後、慶尚北道義城郡新平面橋安里の野山に山火事鎮火用ヘリが墜落し、当局が事故の収拾に乗り出している/聯合ニュース

 慶尚北道義城郡(ウィソングン)の山火事現場で、ヘリコプターで鎮火作業中に死亡したPさん(73)は、経歴40年のベテランパイロットだった。Pさんは26日午後12時51分頃、慶尚北道義城郡新平面(シンピョンミョン)で山火事を鎮火するため、シコルスキーS76B中型ヘリ(江原道麟蹄郡がレンタルしたもの)を操縦していたところ、墜落事故に遭った。

 警察と山林当局などは「ヘリが作業中に電線に引っかかって倒れた」という目撃者の陳述を確保し、ヘリが濃い煙に隠れた電柱に気づかず、電線に引っかかった可能性を念頭に置いて調査している。山火事が起きた地点に正確に水を撒くためには、ヘリが低空飛行しなければならないが、現場には煙が立ち込めており、視野の確保が難しいとパイロットたちは語った。

 ヘリの老朽化も問題だ。墜落したヘリ(タンク容量1200リットル)は、江原道が山火事鎮火のためにレンタルしたもので、機齢(機体の年齢)30年の機種。山林庁は2027年までにヘリ8機を追加導入して配置する計画だ。老朽化に加え、消防ヘリの数も不足している。山林庁の鎮火用ヘリは計50機、このうちロシア製8機はロシアとウクライナの戦争の影響で、部品の輸入が途絶え、稼動中止となっている。また、7機は1980〜90年代に導入した600リットル級の小型ヘリなので、大規模な山火事現場には投入できない。大型ヘリは3000リットル、超大型ヘリは8000リットルを水タンクに入れることができる。

 このような劣悪な環境にもかかわらず、火を消し止めるための死闘は続いていた。「今、慶尚南道の山清(サンチョン)に30機、慶尚北道の義城から盈徳(ヨンドク)の火線に97機が出動しています」。26日午後、山林庁のキム・ナミョン山林航空安全係長は、山火事の火線の移動状況と消火ヘリの飛行状態を確認するため、状況板から目を離さずに語った。同日、山火事の鎮火に投入されたヘリは山林庁35機(50台保有)、陸軍49機、全国の地方自治体賃借ヘリ49機、消防所属12機、警察所属4機の計149台。

 慶尚道の山火事現場は21日から6日間、130機前後のヘリが一日10時間以上飛行している。全てのヘリを鎮火に投入できないのは、製作会社が要求する安全飛行基準を守らなければならないためだ。山林庁側は「超大型ヘリ7機は15時間、スリオンとロシアのカモフは50時間ごとに整備を受けなければならない」と伝えた。

 山林庁関係者は「空中鎮火隊は繰り返される飛行と強風、高圧電線を避けて現場に接近することも難しい」とし、「消防士を投下し、給水をして再び戻ってきた時、さらに大きくなった炎を見ると、力が抜けてしまうという」と伝えた。実際、今月22日に発火した慶尚北道義城の山火事は5日間、空中・地上の鎮火を突破して200キロメートル余りを東進し、26日未明には盈徳海岸に到着した。鎮火があまり進まないのは、瞬間最大風速が台風に匹敵する26メートル毎秒に達し、乾燥した森に落ち葉、廃木など引火物が多いためだ。

 地上でも消防要員たちは休む間もなく鎮火に当たっているが、それでも火の勢いは増している。慶尚南道山清と慶尚北道義城の地上鎮火隊は、拡散する火線に休まず投入され、疲労が限界に達した。忠清南道消防本部は、山清に23人(車両10台)、義城に60人(車両23台)をそれぞれ支援し、毎日勤務者を交代している。忠清南道消防本部の関係者は、「他の地域から支援にきた人たちは交代するが、該当地域の消防関連者は非番の者まで動員され、火線に配置されている。ほとんどが5〜6日連続で鎮火に投入されている」と伝えた。

ソン・インゴル、チョン・ギョンソク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/chungcheong/1189121.html韓国語原文入力: 2025-03-26 22:45
訳H.J

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