ロシア軍機が複数回にわたり韓国防空識別圏(KADIZ)に入り、国防部は駐韓ロシア大使館の国防武官を呼んで厳重に抗議するとともに、再発防止を求めた。
国防部は20日、「本日午前、複数のロシア軍機が事前通告なしに東海(トンヘ)のKADIZに順次進入し、韓国軍の通信に対応することなしに領空の外郭20キロまで近接飛行した」と明らかにした。この過程で領空侵犯はなかった。
軍当局はこの日、ロシア軍機のKADIZへの進入を事前に把握し、進入後には空軍の戦闘機を送って偶発状況に備える戦術措置を取った。今月15日にも数機のロシア軍機が東海KADIZに進入し、後に離脱している。
国防部がこの日午後、ロシアの国防武官ニコライ・マルチェンコ大佐をソウル龍山(ヨンサン)の国防部庁舎に呼んだのには、今月15日のKADIZ進入時にはロシア軍機は交信に応じて、訓練目的であり領空侵犯の意思はないことを確認したが、この日は交信に直ちに応じなかったうえ、ロシアが今月11日から今回までに合わせて8回にわたってKADIZに入ったという背景がある。軍当局は、ロシア軍機の進入が単独で、かつ短時間だった場合はメディアに公開しないが、15日やこの日のように複数機が同時に進入してきた場合は公示すると説明した。
国防部は「領空防衛のため、KADIZでの周辺国の航空機の活動に対しては国際法を順守する中で積極的に対応していく」と述べた。中国やロシアの軍用機が通告なしにKADIZに入ってきたとしても、国際法に違反する行為ではないため、この日、国防部は「侵犯」ではなく「進入」と説明した。
防空識別圏は一国の主権が及ぶ「領空」とは別の概念であり、必要な国が安全保障を目的として他国の軍用航空機の識別のために一方的に設定している任意の線だ。防空識別圏を設定、運用している国は韓国、米国、日本など20カ国あまり。他国の防空識別圏を認めていれば、自国の軍用機がその区域に進入する際には飛行計画などを事前に通告するが、国際法上の根拠はないため、自国の防空識別圏を他国に一方的に強要することはできない。
ロシアは14カ国と国境を接しており、防空識別圏を認めれば領空管理が複雑になるため、他国の防空識別圏を認めていないだけでなく、自国にも設定していない。ロシアは韓国や日本だけでなく、米国とカナダの防空識別圏にも事前通告なしに進入している。