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韓国戦闘機の誤爆、パイロットの座標入力ミスが原因…「トラックが地面に突っ込んだ」

登録:2025-03-07 06:40 修正:2025-03-07 07:21
300メートル離れた場所の爆発にもかかわらず店の屋根に穴が開いた 
「音が大きすぎて飛行機が墜落したかと思った」 
インタビューに応じていた住民「甥がけがをして病院に…」
(左)6日、京畿道抱川市二東面盧谷里で、空軍の戦闘機による誤爆で民家から煙が立ち上る様子。(右)戦闘機の誤爆事故現場の様子=読者提供/聯合ニュース、共同取材写真

 「もう少しこっち側に落ちていたら、私たちを襲ったでしょう。怖くて外に出られません」

 京畿道抱川市二東面盧谷里(ポチョンシ・イドンミョン・ノゴンニ)で軍関連用品を販売しているチョ・ソンギュンさん(31)が見せてくれた鋼鉄の破片は冷たく硬かった。破片は同日午前10時5分ごろ、店から約300メートル離れたところから爆発とともに飛んできた。

 鋭い破片はポリ塩化ビニル(PVC)でできた屋根を突き破り、店の床に落ちた。チョさんは店の屋根に開いた穴を指さした。「この屋根も硬い素材なのに、破片の方がさらに硬くて突き抜けてきたようだ」とし、「恐ろしい」と語った。

 店には爆発の跡があちこちに残っていた。ソンギュンさんの父親で、この店の社長でもあるチョ・ジョンフンさん(64)は当時の状況を思い出し、「最初は戦争が起きたと思った」と話した。

 チョさんは「突然『ドーン』という音とともに地震が起きたように建物が揺れ、『バババババッ』という音がした。10秒ほど経ってから、外の様子を見に出てみると、煙が立ち上がり、火薬の匂いがした。煙があがる姿を見ながら部隊の中で何かが爆発したと思ったが、後で飛行機から爆弾が落ちたという話を聞いた」と振り返った。

 チョさんは「想像もできなかったこと」だとし、「兵士たちが乗ったトラックも被害を受けたようだが、大けがをしたのではないか心配だ」と語った。

京畿道抱川市二東面盧谷里の空軍戦闘機爆弾誤発事故の現場近くにあるチョ・ジョンフンさんの軍関連用品店に飛び込んだ破片=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社
6日、京畿道抱川市二東面盧谷里の空軍戦闘機爆弾誤発事故の現場近くにある建物の窓ガラスが割れている/聯合ニュース

 爆発を起こしたのは、訓練中に空軍が誤って落とした爆弾だった。空軍は事故後「6日午前10時4分頃、空軍・陸軍の共同・合同火力実射撃訓練に参加中だった空軍のKF16から、MK82一般爆弾8発が非正常投下され、射撃場外部地域に落弾した」と述べた。この爆弾が抱川市二東面蘆谷里のナンユ大橋付近の路上に落ち、2人が重傷を負うなど15人が負傷した。民家住宅5棟、倉庫1棟、聖堂1棟、ビニールハウス1棟、貨物車両1台なども被害を受けた。誤爆の原因はパイロットの「座標入力ミス」だった。

 当時、爆発現場を見た住民たちの話によると、爆弾が落ちた現場は戦場を彷彿とさせたという。誤発事故地点から約500メートル離れたカーセンターで働くアン・ギョンマンさん(64)は、「爆発が起きた後、行ってみると煙が立ち込めていたが、その間に見える聖堂は扉が壊れるなど被害を受けていたし、民家2棟は完全に屋根がなくなっていて恐ろしかった」とし、「軍部隊の鉄条網は爆発の衝撃のためか穴がぽっかり開いており、ポーター(トラック)1台が完全に地面に突っ込んでいた」と語った。

 被害規模はさらに増える可能性がある。チョさんの店に破片が落ちたように、軍と警察などが事態を収拾中の統制区域外の住宅や店なども、爆発で施設物が破損するなど被害を受けたためだ。実際、近くにあるクリーニング店など民家や店のあちこちに窓やガラスが割れたところがあり、一部の車両も窓が破損するなど爆発当時の跡がそのまま残っていた。

爆発事故直後、チョ・ソンギュンさんが撮影した写真。爆発現場から煙が上がっている=チョ・ソンギュンさん提供//ハンギョレ新聞社

 軍と警察などが投入されて落ちた爆弾を回収したが、住民たちは依然として恐怖に怯えている。アン・ギョンマンさんは「店の前に車を駐車していたが、『ガシャン』とか『ドーンドーン』という音がしてから大きく揺れた」とし、「あまりに大きな音だったので、飛行機が墜落したのかと思った」と語った。

 この町で生まれ育ったというアンさんは「全く想像もできなかったことが起きたので、町全体が大騒ぎになった」とし、「近くにある家の2階を借りて暮らしているが、爆発の衝撃で家の構造自体が変わったのか、ドアが開かなくてご飯も食べられず、近所の家の窓ガラスも全て割れていた」と話した。

 ここの住民たちと親しい知人や家族たちのショックも大きかった。

 この日、事故現場の前で会った中年女性は「事故の知らせを聞いて心配になり、すぐに駆けつけたが、向こう(統制区域)の家に住む甥がケガをして病院に運ばれたという」とし、「今インタビューに応じるところではない。早く行って甥っ子の顔を見ないと。とても心配だ」と言いながら、急いで現場を離れた。

 爆弾が落ちた当時の状況について話していたチョ・ジョンフンさんの携帯電話には「ケガをしていないか」と心配する知人たちの電話がひっきりなしにかかってきた。

 一方、軍と警察など関係当局は誤爆事故現場を統制しながら事故を収拾している。 同日、爆発現場には軍、警察、消防当局の車両が相次いで訪れ、空軍爆発物処理班、警察特攻隊爆発物処理班の車なども現れた。

 キム・ソンホ国防部長官職務代行とソン・イルジョン国会国防委員長らも訪問し、事故現場を視察した。

イ・ジュンヒ、クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1185651.html韓国語原文入力:2025-03-06 21:20
訳H.J

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