韓国の拉致被害者家族団体が再び北朝鮮へのビラ散布に乗り出すことにし、対立が予想される。最近「北朝鮮へのビラ散布禁止仮処分訴訟」が棄却されたことに伴う行動とみられる。
4日、坡州(パジュ)警察署の説明によると、拉致被害者家族連合会は同日、警察に今月8日から4月2日まで「拉致された家族に便りを送る」という名称で集会を申告した。集会場所は坡州市臨津閣(イムジンガク)の平和ランドのフェンスの裏側。拉致被害者家族連合会は集会申告をした日程の中で北方向に風が吹く日に北朝鮮へのビラ散布を行う計画だ。
拉致被害者家族連合会はこれまで、南北境界地帯で拉致被害者の送還問題に関するビラやドル紙幣などを散布し、地域住民や市民団体などと対立してきた。これに先立ち、昨年10月には坡州市で対北朝鮮ビラを散布しようとしたが、南北境界地域の住民と京畿道に制止されており、同年11月には江原道高城郡(コソングン)で対北朝鮮ビラ散布を試みたが、住民たちによって散布予想地を農機具などで阻まれた。
これに対し、「新未来民主党」などは、拉致被害者家族連合会と自由北韓運動連合の3団体を相手取り、対北朝鮮ビラ散布が境界地域の住民の生命権と幸福追求権などの基本権を侵害し、南北の緊張を高めるとして、裁判所に対北朝鮮ビラ散布禁止仮処分を申し立てた。
だが、議政府(ウィジュンブ)地方裁判所高陽(コヤン)支院民事11部は先月21日、これを棄却した。裁判所は「申立人は被申立人の行為が北朝鮮の武力挑発を直接的に引き起こすという具体的根拠を示すことができなかった」とし、「北朝鮮の武力挑発のリスクが全国に及ぶという理由だけで、南北関係の緊張を誘発しうる表現行為を禁止すれば、憲法上保障された表現の自由が過度に萎縮する恐れがある」ことを棄却の理由に挙げた。