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元情報司令官の手帳の「回収」の意味は…元特殊部隊員「跡形もなく消し去ること」

登録:2025-02-14 23:19 修正:2025-02-15 08:08
1月25日に放送されたSBSの番組「それが知りたい」より//ハンギョレ新聞社

 非常戒厳の裏で糸を引いていたとされるノ・サンウォン元情報司令官の手帳に記された「回収」という表現は、「連れてきて跡形もなく消し去るという意味」だとする北朝鮮派遣工作員部隊(HID)の元教官の発言が、改めて注目を浴びている。13日にハンギョレが入手した70ページの「ノ・サンウォン手帳」には、「回収」の対象者として野党関係者だけでなく「左派判事」、「左派芸能人」などが含まれており、「確認射殺」などの除去計画まで記されているため、波紋が広がっている。

 1月25日に放送されたSBSの番組「それが知りたい」の「老兵が夢見た新世界―作戦名白ニョン島(ペンニョンド)編」では、情報司令部傘下のHIDで活動していた元教官と要員がインタビューに応じている。HIDは有事の際に敵陣に侵入して主な人物を逮捕・暗殺する訓練を受けた専門特殊部隊で、過去には北朝鮮への派遣工作に投入されている。

 取材陣が「人を回収するというのは人を逮捕する、確保するというのとは意味が異なるのか」と問うと、顔と名前を隠したHIDの元教官は「そうだ。回収するというのは、完全に使えなくするということ」だと答えている。そして「回収というのは最も危険な言葉だ。『連れてきて跡形もなく消し去れ(という意味)」だとし、「我々(HID)がもっとも得意とするものがそれだ。跡形もなく除去してしまうから」と語った。

 「では、回収は除去後に後始末まですることを含むのか」と取材陣が再び尋ねると、同教官は「そうだ」と答えている。

1月25日放送のSBS「それが知りたい」に出演したHID元要員のペク・キョンミンさん=同番組より//ハンギョレ新聞社

 2004年から4年間HIDで活動していたというペク・キョンミンさんも、同番組のインタビューで「皆殺しにするとか、きれいさっぱりなくすとか、すっかり持ってくるとか、その痕跡そのものをすべて消し去ってしまうことを、我々は『回収する』と言ったりはする」と語っている。ただしペクさんは「日常的に使ったり、よく使ったりする単語ではない」と付け加えている。

 「ノ・サンウォン手帳」には実際に、彼らの証言と一致する4つの「回収対象処理案」が記されている。「GOP線上で銃撃、DMZ空間」「海中」「延坪島(ヨンピョンド)などの無人島」「民統線以北」と書かれており、北朝鮮と隣接する地域で回収対象を射殺する計画とみられる。

 延坪島へ移送する案は、「民間の大型船舶」と「廃軍艦」を利用して移送し爆発物を「貨物室に設置」してから「実尾島(シルミド)で執行人員は下船」し、「適切な場所で爆破」するとなっている。北朝鮮と隣接する一般前哨(GOP)での回収対象射殺案は、「収容施設で火災を起こし、爆破」する方法と、「外部浸透後射殺(手りゅう弾など)」する方法が記されている。「民統線以北」案は、「兵舎内の寝室での爆発物使用」が言及されている。「用役、特殊要員、予備役、志願者」などを用いて回収対象を爆発物として処理するというのだ。この案では、爆発物を「兵舎施設補修チームが進入後に設置」し、「確認射殺」までするという計画が記されている。

 その他にも「NLL付近で北朝鮮の攻撃を誘導」する案、「北朝鮮が(回収対象が乗った船を)だ捕する直前に撃沈させる案」も記されている。また「1カ所の刑務所に丸ごと収監」する案では、「飲食物、給水、化学薬品」を使うことが言及されている。毒物で殺害する計画とみられる。

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1182500.html韓国語原文入力:2025-02-14 15:23
訳D.K

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