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「うつ病に罪はない」…小学生殺害教員、罪は加害者にある=韓国

登録:2025-02-12 07:31 修正:2025-02-12 08:11
精神科医師「うつ病への偏見、メンタルヘルスの危機を悪化させるだけ」
大田市西区のある小学校で、教員が振り回した凶器によって8歳のキム・ハヌルさんが死亡した翌日の11日午後、追悼に訪れた人たちが正門前にハヌルさんを追悼する花束などを置いている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 10日、大田市西区(テジョンシ・ソグ)のある小学校で、8歳の児童が教員に凶器で刺されて死亡し、さらに教員の病名として伝えられたうつ病が浮上していることについて、懸念を示す専門家らの声が上がっている。

 米国エール大学医学部精神医学科のナ・ジョンホ准教授は11日、自身のフェイスブックに「うつ病に罪はない」と題する投稿を掲載し、「加害者は相応の罰を受けなければならないが、何も明らかになっていない状況のもとで、メディアがうつ病による休職の前歴に先を争って言及することは不適切だと考える」と書き込んだ。

 ナ准教授は「同じ年齢の娘を持つ父親として、あまりにも胸が痛むことであり、被害者のご両親が感じている気持ちはとても想像できない」として、「故人の冥福を祈り、どうか遺族が必要な助けを得られることを願う」と前置きした後、次のように説明した。

 ナ准教授は「罪は加害者にあり、うつ病に罪はない」として、「(うつ病を前面に出した報道は)うつ病に対する偏見を強化させ、助けを必要とする人たちが治療を受けることを妨げ、韓国のメンタルヘルスの危機をさらに悪化させるだろう」と懸念を示した。ナ准教授は「韓国のうつ病治療率は、いまだ10%にすぎない」として、「10人中9人が適切な治療を受けられていない」と強調した。

 ナ准教授は2023年にtvNの芸能番組「ユー・クイズ ON THE BLOCK」に出演し、「患者の前で泣く医師」と呼ばれた精神科の専門医だ。

大田市西区のある小学校で、教員が振り回した凶器で8歳のキム・ハヌルさんが死亡した翌日の11日午後、正門前にハヌルさんを追悼するお菓子や花束、メッセージが置かれている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 慶煕大学病院精神健康医学科のペク・チョンウ教授もこの日、同様の懸念を表明した。ペク教授は「想像しがたい、恐ろしく悲しいことが起きた」とし、「異常な動機による犯罪である可能性が高く、十分な調査が行われて原因を明らかにし、二度と起きないようにするシステムを作ることが重要だ」と前置きした。

 ペク教授はそのうえで、「しかし、加害者の病歴にうつ病があるからといって、それが原因だと推定するのはかなり難しいと考える」とし、「糖尿病のような慢性疾患があったと報道することと変わらない」と述べた。

 ペク教授は昨年作られた「メンタルヘルス報道勧告基準」を紹介し、「勧告の基準が守られることを希望する」と強調した。

 昨年11月、保健福祉部と韓国記者協会、中央メンタルヘルス福祉事業支援団が作成した基準には、「捜査の過程で(加害者の)精神疾患の病歴が確認されても、事件・事故の原因だと判明する前に、これを暗示してはならない」「精神疾患が事件・事故と関連したとしても、これを犯罪の唯一の原因とは断定しない」と記されている。「精神疾患を犯罪の動機・原因と関連付けることには、きわめて慎重でなければならない」ということだ。

 大田教育庁はこの日、加害教員が昨年末にうつ病を理由に6カ月の病気休暇を申請し、12月9日から病暇休職に入ったが、21日後の12月30日に復職したことを明らかにした。休職前は2年生の担任で、復職後には教科専門担当を務めていたという。

ソン・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1181899.html韓国語原文入力:2025-02-11 21:10
訳M.S

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