憲法裁判所の弾劾裁判に出席した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「不正選挙主張は陰謀論ではない」として、不正選挙を捜査する必要性があるため非常戒厳を宣布したのだと主張した。
尹大統領は21日、憲法裁の大審判廷で行われた第3回弁論に出席。裁判終了間際に発言の機会を自ら要請し、「(請求人代理人団は)不正選挙疑惑は陰謀論だ、戒厳を正当化したものだと、事後に作った論理だとおっしゃったが、すでに戒厳を宣布する前に、このような様々な選挙の公正性に対する信頼に疑問を抱く事項が多くあった」と述べた。
続けて尹大統領は、「2023年10月に国家情報院が中央選挙管理委員会の電算装備のごく一部を点検したところ、問題が多かったため、不正選挙そのものを摘発しろというのではなく、選管の電算システムを全般的にスクリーニーングできるならやってみてほしい、どんな装備があり、どんなシステムが稼動しているのか(確認するようにした)。そういうことなので、私たちは選挙が不正だから信じられないという陰謀論を提起しているのではなく、ファクトを確認せよという観点からのものだったということを理解してほしい」と語った。
尹大統領は、非常戒厳を宣布した直後に国会に戒厳軍を投入したのは、国会の戒厳解除要求決議案の採決を妨害しようとしたものではないと主張した。尹大統領は「(国会のCCTVを見ると)軍人たちは本庁舎に進入したが、職員たちが抵抗するものだから自ら出て行っているではないか。いくらでももっと奥に入れるのに」と述べた。国会制圧が失敗したのは市民の抵抗と戒厳軍の消極的な作戦遂行によるものであるにもかかわらず、結果論を持ち出して国会の権能を無力化する意図はなかったと主張しているのだ。
尹大統領はまた、「戒厳解除要求決議は、実は私も放送を見ていたが、議員たちの間でも国会議長との関係で『早くしましょう』と言っており、ウ・ウォンシク国会議長は『手続きを踏まなければならないのではないか』と言いながら、国会法に合わないそのような迅速な決議をした」とも述べた。何の根拠もなしに、国会の戒厳解除要求決議は「国会法に合わない」と主張したのだ。国会による戒厳解除要求決議案が通った後も、尹大統領はこれを違法だと主張して受け入れようとしなかったのではないかと疑われる内容だ。
この日、国会側の代理人団は、戒厳解除要求が議決されてからも国会議長公館の周囲に戒厳軍がとどまっている様子を撮影したCCTV映像を公開した。これに対して尹大統領は、「まるで午前2時に(国会議長を)逮捕するかのように(請求人側は主張)していたが、私が思うに、おそらく退却する過程で起こっていることのようだ」とし、「それを当時は阻んだり延期したりしたからといって、阻まれるものではないということを申し上げたい」と述べた。
23日の第4回弁論では、キム・ヨンヒョン前国防部長官の証人尋問が予定されている。この日、国会側の代理人は、尹大統領が退廷した状態での証人尋問を裁判所に要請したが、尹大統領はこれに対して「弾劾裁判というのは刑事訴訟手続きに準じて行うものであり、私は職務停止されている状態なので(証人たちに)影響力も行使できない」、「そしてこの事件の内容を最もよく知る人間は、まさに被請求人である大統領、私自身だ。そのような主張は理解できない」と反論した。
現職大統領であるということから生じる影響力のせいで、証人が尹大統領の発言に反する証言に困難をきたす恐れがあるため「分離」を主張したものだが、尹大統領は受け入れられないと反発したのだ。