先月発生した「12・3内乱事態」と済州(チェジュ)航空惨事以降、メンタルヘルスに関する相談や診療の現場からは、国家的災害や大事件が国民のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしうるという懸念が示されている。
13日に共に民主党のカン・ソヌ議員が保健福祉部から提出を受けた「非常戒厳に関するカウンセリングの現況」によると、全国の広域・基礎自治体のメンタルヘルス福祉センターで非常戒厳に関してカウンセリングを受けた人の数は、先月24日の時点で45人。内訳は、対面カウンセリング22件、電話などによる非対面でのカウンセリングが26件(3件重複)。ある広域メンタルヘルス福祉センターの関係者は、「主に『非常戒厳に関するニュースを見ると不安で苦しい』などと訴えていた。すでに別の理由でカウンセリングを受けていた人が、カウンセリングで非常戒厳に関する内容について語るケースが多かった」と説明した。メンタルヘルス福祉センターは、重症の精神疾患を抱える人を含む地域住民に対してカウンセリングやリハビリプログラムなどを提供する機関で、市郡区の保健所が直接または委託で運営している。
これまで精神健康医学科の診療を受けていた医療機関などでカウンセリングを受けるケースもある。うつ病と不安障害で数年にわたって精神健康医学科の診療を受けているCさん(32)は、「非常戒厳と済州航空惨事のニュースを見ていると、いつでも日常が揺らぎ、大きな事故が起こりうると考えてしまい、不安になる」と話した。嘉泉大学吉病院精神健康医学科のカン・スンゴル教授は、「うつ病、不安障害、不眠症、トラウマ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを抱える患者の中には、非常戒厳と済州航空惨事以降、症状がひどくなったケースがある。妄想、幻聴などの症状がある統合失調症の患者が、非常戒厳以降、自分に向けられた脅威があるという不安をより大きく感じているというケースもある」と語った。
すでにトラウマを抱えていた人は今回の事件でトラウマが悪化する可能性があるため、より注意する必要がある。国家トラウマセンターのシム・ミニョン所長は、「それまでのトラウマと直接関係のある事件でなくても、以前に体験した苦痛が活性化されうる」として、「例えば、性暴力犯罪によるトラウマが非常戒厳で刺激される恐れがある」と説明した。
カン・ソンウ議員は「社会的災害が続いたことで、全国民的なトラウマが懸念される」として、「トラウマ克服のためには初期介入が重要なだけに、政府は国民に対する心理支援が積極的になされるよう、対策を早急に立てるべきだ」と強調した。