本文に移動

[韓国地震ルポ]「床はガタガタ、心臓ドキドキ…金正恩がミサイルを撃ってきたかと」

登録:2024-06-13 01:40 修正:2024-06-13 07:35
マグニチュード4.8の地震に見舞われた全羅北道扶安郡ルポ
12日のマグニチュード4.8の地震で、全羅北道扶安郡界火面トンドンアンキルのある住宅の棚が落ち、家の主が困っている/聯合ニュース

 「やかんでお湯を沸かしてたんだけど、外で『ボン』って音がして。床はガタガタ揺れて、金正恩(キム・ジョンウン)がミサイルを撃ってきたのかと思った。近ごろ北朝鮮ととても仲が悪いっていうから」

 カン・ヨンスさん(63)の声も小刻みに震えていた。土レンガで建てられた農家はまだ散らかったままだった。「あそこの壁、ちょっと見てよ。ひび割れ見えるでしょ? そこから出てきた土ぼこりを片付けようと思って、午前中ずっと掃き掃除してたのよ」。カンさんはこの日、生まれて初めて地面が揺れるのを感じたという。朝食を終えたばかりだった。「村の人たちが言ってた。耕運機に乗って田んぼに行く途中だったんだけど、道が横に揺れてるんだって。みんな危うく葬式を出すところだったわよ」

全羅北道扶安郡下西面長信里に住むチョ・ブスンさんが12日午前、地震でひび割れた家の壁を示している=キム・ヨンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 マグニチュード4.8の地震が襲った全羅北道扶安(プアン)の住民たちにとって、12日の朝は文字通り衝撃と恐怖だった。下西面長信里(ハソミョン・チャンシンリ)に住むチョン・ピルファンさん(63)もそうだった。「本当に、騒ぎが起きたのかと思ったよ。ご飯を食べて皿洗いをしてたんだけど、『ドン』という音がして、四方が揺れてるんだ。目がまわって庭になんとかはい出たら『ピー』って音が鳴ってショートメッセージが来た。地震があったって」。午前8時47分だった。チョンさんはすぐに119に通報した。「9時10分ごろに郡の消防署から救急車が来た。不安だから家を一緒に見てくれと言ったんだ」

震央と推定される扶安郡幸安面真洞里の平野=キム・ヨンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 チョンさんが先祖代々暮らしてきた100平米あまりの韓屋の壁には、人の肩ほどの高さに亀裂が横向きに走っていた。庭に面するガラス窓も破損し、今にも粉々になって落ちそうだった。チョンさんの隣人のチョ・ブスンさん(71)の家も状況は同じだった。チョさんは、「畑で仕事をしていたら、地面がグラグラと揺れた。びっくりして家に帰ったら、家と倉庫の壁にひびが入っていた。倒れたらどうしよう」と不安そうに語った。

12日午後、全北特別自治道が発信した余震発生の緊急ショートメッセージ=全羅北道提供//ハンギョレ新聞社

 震源地に近い幸安面真洞里(ヘンアンミョン・チンドンリ)の私立保育園も大騒ぎになった。園長のAさんは、「地震が起きた時、10人ほどの園児が登園していた。大きな音がして地面が鳴るものだから、びっくりして建物の外に逃げた。幸い、けがをした子はいなかった」と話した。

 幸安面と接する扶安邑(プアンウプ)は、午前の不安がある程度落ち着いた状態だった。村内でコンビニエンスストアを営むキム・ドンヒョンさんは、「商品の陳列棚が揺れるほどだった。近所の店の人たちと話したが、大きな被害はなかった」と胸をなで下ろした。住民のホ・ジョンフェさん(64)は、仕事で外出していたが、家にいた妻から連絡を受けたという。「家に帰ったら、動悸がすると言って妻が横になっていたんだ。トタン瓦の揺れる音があまりにも大きかったもんだから、うちの居間で寝ていた隣のネコが慌てて逃げていったってさ」

12日、マグニチュード4.8の地震が発生した扶安郡幸安面真洞里のある住民の家の壁が割れている=キム・ヨンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 この日の朝、扶安郡幸安面真洞里で発生した地震は、最大震度が5(改正メルカリ震度階)の中型地震だった。1978年の地震計測開始以降で、全羅北道地域で発生した地震としては規模が最大。午後1時55分にはマグニチュード3.1の余震が発生した。扶安邑の喫茶店で記事を書いていた記者も、はっきりと揺れを感じた。喫茶店のガラス越しに、驚いて外にとび出してくる商人たちが見えた。

 この日、全羅北道地域では午後3時現在で101件(扶安87、井邑(チョンウプ)8、高敞(コチャン)3、群山(クンサン)1、益山(イクサン)1、淳昌(スンチャン)1)の被害通報があった。けが人はおらず、ダムや貯水池の被害も確認されていない。全羅北道は災害安全対策本部の非常第1段階を発令し、非常状況を維持している。

扶安/キム・ヨンヒ、パク・イムグン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/1144540.html韓国語原文入力:2024-06-12 15:31
訳D.K

関連記事