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内輪もめに陥った医療界…総選挙で惨敗した韓国政府は「医療正常化」放棄か

登録:2024-04-15 05:55 修正:2024-04-15 07:00
医協内部に続き、専攻医と教授も対立・反目 
「2千人増員」に代わる交渉案作り、難航する見通し
医学部の定員増員案をめぐり韓国政府と医療界の対立が続く中、14日、ソウルのある大型病院でうつむいて座っている患者の様子/聯合ニュース

 韓国の医療界内部で反目が繰り返されている。先週の大韓医師協会(医協)内の対立に続き、専攻医団体代表と医学部教授たちの間でも最近緊張感が高まっている。このような状況で、医師たちが「医学部定員2千人増員」に代わる交渉案を政府に提示することも難しくなったものとみられる。

 大韓専攻医協議会(大専協)のパク・タン非常対策委員長は12日、フェイスブックへの投稿で、労働健康連帯のキム・ミョンヒ運営委員長(予防医学専門医)が書いた「1万2千人に振り回される韓国、専攻医を怪物に育てた」という題名の寄稿(ハンギョレ新聞日本語版4月12日付)の内容を転載した。研修生の身分である専攻医が病院の指示で最大週88時間病棟当直などの激務に苦しみ、教授はこれを指示あるいは黙認する構造を指摘した部分だ。パク委員長が引用したのは「研修病院の教授たちは、病院を去った専攻医たちに不利益が生じれば決して座視しないと宣言しているが、彼らは(認めようが認めまいが)搾取の連鎖において中間管理者の役割を果たしてきた」と指摘する部分だった。さらに安価な労働力である専攻医を中心に医療サービスを提供してきた「病院」と、このような医療体系を作ってきた「政府」が問題の根本的な原因だとし、「二つの軸」という解釈を付け加えた。

 辞表の提出などで専攻医を支持してきた医学部教授たちは、パク委員長の投稿を自分たちへの批判と解釈し、「失望した」という反応を示した。円光大学医学部のカン・ホンジェ教授非常対策委員長はソーシャルメディアへの投稿で、「自分を支持する勢力に機関銃を乱射するのは、尹大統領だけではなかった。失望した」とし、「師弟関係ではない職場の上司と部下の関係ならば、これ以上教授たちが専攻医たちを支持する必要がない」と書いた。ノ・ファンギュ前医協会長も「(パク委員長の)発言が不適切だという主張と、教授たちをはじめとする一部の医師たちが怒り、不快感を表していることに同意する」としたうえで、「もう少し慎重に発言してほしいという期待がある」と語った。

 医療界の内紛を収拾しようとする試みもあった。先日医協会長に当選したイム・ヒョンテク氏は14日、フェイスブックへの投稿で、医協非常対策委員会会議でキム・テグ医協非常対策委員長と手を取り合った写真を掲載した。イム氏は「誤解と残念だった点について、キム・テグ非常対策委員長と十分な意見交換を通じてうまく解決した」とし、「残りの期間、すべての職域が協力してこの難局をうまく乗り越えていけるように努める」という文も添えた。8日、イム氏が医協非常対策委員長を引き受けるという意見を出したが、医協非常対策委員会は9日、「それは無理な主張」だとして拒否しており、軋轢(あつれき)が露呈した。

 キム・テグ医協非常対策委員長も医療界の内紛の収拾に乗り出した。この日、キム非常対策委員長はパク・タン大専協非常対策委員長の投稿について、「多様な職群によって多様な声が出てくることがあり、私たちが傾聴しなければならない部分」だと語った。

 ただし、これまで医療界は穏健派と強硬派、医協非常対策委員会とイム・ヒョンテク氏、パク・タン氏とイム氏の間で互いに激しく批判しながら分裂する様相を呈した。一部が収拾に乗り出したが、亀裂を埋めるのは容易ではない見通しだ。特に来月1日、医学部定員削減を主張する超強硬派のイム氏が医協会長の任期を始めれば、医療界と政府の対話の余地は狭くなるものとみられる。与党の総選挙惨敗後、政府も積極的に対話を試みていない。福祉部は8日を最後に「医師集団行動中央事故収拾本部」会見も開いていない。

キム・ユンジュ、チョン・ホソン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1136516.html韓国語原文入力:2024-04-15 00:05
訳H.J

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