医学部の定員拡大に反発して集団辞職した専攻医と、彼らの復帰を命じた政府の対立が接点を見出せずにいる中、医学部の教授と専門医が本質的な医療改革のための対話を強調する時局宣言文を作成し、全国の医師の連帯署名を募っている。連帯署名に応じた医師は、署名開始から3日で5千人を超えた。
ソウル峨山(アサン)病院、汝矣島(ヨイド)聖母病院、セブランス病院などの16人の教授と専門医は「2024年医療時局宣言文」を作成し、8日から全国の医師の連帯署名を募っている。10日午後2時現在で5236人が署名している。このうち研修病院の教授や専門医は3566人で、一般の医院や病院の医療陣は1670人。
彼らは連帯署名の趣旨説明で、「専攻医たちは深刻な挫折と無力を感じながら現場を離れ、政府は医療崩壊の危機もかまわず押し付けるような政策で妥協なき強行ばかりを主張している」とし、「国民の不安は日々ふくらんでおり、私たちは一日一日死力を尽くしているが、いつまで持ちこたえられるか断言できない」と指摘。そして「政府の強硬対応は政府と医療システムに対する不信を増幅させるだけでなく、後輩である専攻医たちが病院に戻ってくる可能性をさらに希薄にする最悪の状況を招いている」と強調した。
時局宣言文は政府の医療政策の進め方を批判すると同時に、合理的な対話を求める内容を含んでいる。「政府には、必須医療の崩壊と地方医療の没落を救済する対策を提示し、専攻医と現場に従事する医療スタッフの批判的意見も受け入れ、議論する機会を設けるよう求める」とし、「政府がこのような最小限の意志さえ示せず、医療大乱の危機へと突き進む現状をそのまま放置すれば、国民は政府の無謀で無責任な姿勢に対して厳しく責任を問うだろう」との内容だ。
さらに「私たち(医師)は国民、医療界、そして政府の協力による真の医療改革の開始を切に願う」とし、「医療界全般がより高い水準の専門家精神にもとづき、勇気ある自己省察と変化の追求に積極的にかかわっていくことを宣言する」と述べている。
時局宣言文の連帯署名の提案者の一人である汝矣島聖母病院外科のキム・ソングン教授はハンギョレに、「教授協議会で意思を表出できない方々の意見をも結集するとの趣旨であり、ほとんどが今までの状況だけでなく今後の発展の方向性も議論し、努力していくという意見」だと説明した。署名した人々はグループチャットルームでも議論を続けていくという。
一方、教授たちの集団行動論議も各大学で続いている。ソウル大学医学部教授協議会の非常対策委員会は11日午後5時に緊急総会を開き、集団行動の是非など、政府の医学部増員推進への対応を議論する予定であることを明らかにしている。