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韓国司法「日本の戦犯企業の供託金差し押さえ」…賠償受け取りに道

登録:2024-01-26 01:17 修正:2024-01-26 07:27
日立造船が預けた6千万ウォン 
差押えおよび取立て命令申立てが認められる
日帝強占期の強制動員被害者の遺族らが先月28日午前、三菱重工などを相手取って起こした損害賠償請求訴訟の上告審での判決言い渡し後、ソウル瑞草区の最高裁で賠償や公式謝罪などを求めるスローガンを叫んでいる/聯合ニュース

 日本の戦犯企業による強制動員の被害者が、日本企業の財産を賠償金として確保するために裁判所に対しておこなった申立てが認容された。最終確定すれば、日本企業の資金が被害者に渡る初の事例となる。

 25日のハンギョレの取材の結果、ソウル中央地裁は、強制動員被害者のLさんが日本の日立造船によって2019年にソウル高等裁判所に預けられた保証供託金6000万ウォンの差押えを求めた「差押えおよび取立て命令申立て」を、23日に認めた。

 日立造船は2019年1月、二審のソウル高裁が賠償を命じる判決を下したことを受け、裁判所に強制執行の停止を請求した。裁判所は、担保として保証供託金6000万ウォンを提供することを条件に、日立造船に対する強制執行を停止させた。

 被害者のLさんの申立ては、最高裁判決に則って日立造船の韓国国内の資産である供託金6000万ウォンを差し押さえるための第一段階だ。今後、Lさんはソウル中央地裁の認容決定を根拠として、ソウル高裁から保証供託金担保取り消し決定を受けなければならない。日立造船がソウル中央地裁の差押えおよび取立て命令申立ての認容に異議を申し立てたり、ソウル高裁の担保取消し決定を不服として抗告することもありうる。しかし通常、債権者(被害者のLさん)が担保取消し決定を受ければ、債務者の抗告は認めれられないケースが多いため、Lさんが供託金を受け取る可能性は高いと法曹界では考えられている。

 1944年9月、日本の国民徴用令にもとづいて大阪に位置する造船所に強制動員されたLさんは、日立造船を相手取って2014年に強制労役による精神的被害の賠償(慰謝料)を求めて提訴した。最高裁は先月28日、Lさんに対する5000万ウォン(約552万円)の賠償金と遅延利子の支払いを日立造船に命じる判決を下した。

 一方、日帝強占期の強制動員の被害者が日本企業を相手取って訴訟を起こし、最高裁で勝訴判決を勝ち取るケースが相次いでいる。最高裁1部(主審:ノ・テアク最高裁判事)はこの日、強制動員の被害者と遺族が日本の軍需企業である不二越を相手取って起こしていた3件の損害賠償請求訴訟の上告審で、原審の原告一部勝訴判決をすべて確定した。

 訴訟を起こしたのは、1944年から1945年にかけて不二越の富山工場に動員され、強制労働させられた女子勤労挺身隊の被害者と遺族、計41人。

 最高裁の判決が確定したことで、不二越は被害者に1人当たり8000万ウォン~1億ウォン(約884万~1100万円)、計21億ウォン(約2億3200万円)と遅延損害金を支給しなければならなくなった。しかし不二越は賠償を拒否しているため、被害者と遺族が賠償金を受け取れるかどうかは未知数だ。

イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1125878.html韓国語原文入力:2024-01-25 14:15
訳D.K

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