韓国の与党「国民の力」が21日、ハン・ドンフン法務部長官(50)を非常対策委員長に指名した。ハン氏は提案を受け入れ、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の裁可を得て長官職を辞任した。尹大統領の最側近であるハン氏が司令塔として急遽登板し、与党は「龍山直轄体制」で来年4月の総選挙に臨むことになった。これで「検事大統領に検事与党代表」体制というレッテルも貼られることになった。ハン氏は26日、党全国委員会を経て非常対策委員長に公式任命される予定だ。
ユン・ジェオク党代表権限代行(院内総務)は同日午後1時55分、国会で記者懇談会を開き、「これまでの意見を総合して党非常対策委員長にハン長官を推薦することにした」と述べた。さらに「非常対策委員長は変化と刷新、未来を熱望する国民の期待に応え、党刷新を越えて国会改革など政治文化の改革を進めなければならない」とし、「ハン長官はこれを成し遂げられる最も若く、斬新な非常対策委員長になるだろう」と語った。ユン権限代行は先立って同日午前、ソウル某所でハン長官に会い、非常対策委員長職を提案しており、ハン長官はこれを受諾した。尹大統領はハン長官の免職案を直ちに裁可した。
ハン氏は同日午後5時、政府果川(クァチョン)庁舎で開かれた離任式が終わった後、記者団に「非常に厳しい現実を前にし、うまくやれるだろうという漠然とした自信よりも、仲間の市民たちと国のためにうまくやらなければならないという責任感の方が大きい」とし、「9回裏のツーアウト・ツーストライクなら、狙いのボールが来なくても、ストライクなのかボールなのか曖昧でも、後悔のないよう(バットを)振らなければならない」と述べた。さらに「常識のある仲間の市民たちと共に大韓民国の未来に向けた道を共に作り、共に歩んでいく」としたうえで、「支持する意見に劣らず批判する多様な意見にも耳を傾け尊重しながら、最後まで進んでいく」と語った。
国民の力は直ちに非常対策委員長の任命手続きに着手した。同党は午後2時50分、テレビ会議として緊急最高委員会議を開き、26日午前に全国委員会を招集することにした。全国委員会で非対面自動応答(ARS)方式による投票を通じてハン氏を非常対策委員長に追認すれば、ユン権限代行が公式任命する予定だ。13日にキム・ギヒョン代表が辞退してから13日ぶりに空席を埋めることになる。
野党「共に民主党」のハン・ミンス報道担当は「ハン長官が『誰にも盲従しなかった』という本人の言葉を立証するためには、『龍核関(龍山にある大統領室の核心関係者)』と『検核関(検察の核心関係者)に大勢公認状を与え、キム・ゴンヒ(尹大統領の夫人)特検法を全身で防ぐのではないかという国民の懸念をまず払拭しなければならない」と論評した。