合意した同性の軍人間の性行為を処罰する「軍刑法醜行罪」条項が、憲法裁判所の4回目の審判でも「合憲」と判断された。昨年の最高裁の判例変更によって、私的空間で合意のもとでなされた性行為にこの条項を適用することが難しくなった以上、違憲ではないという論理だ。国家人権委員会と国際社会が根強く廃止を勧告しているにもかかわらず、憲法裁判所は性的マイノリティへの差別条項を容認しているという批判が出ている。
憲法裁判所は26日、軍刑法92条の6(醜行罪)に対する違憲法律審判事件で、裁判官の5対4の意見で合憲決定を下した。この条項を違反した容疑で起訴され無罪判決が確定した当事者が提起した憲法訴訟は、裁判の前提性を満たせなかったとして却下された。
軍刑法醜行罪は、軍人などに対して、肛門性交やその他の醜行をした者を2年以下の懲役に処すると定めている。1962年の制定時は「鷄姦やその他の醜行をした者」を処罰する内容だったが、2013年に「鷄姦」を「肛門性交」に表現を変えただけで維持された。法文上は、行為者の性別にかかわらず肛門性交を行った軍人を処罰する内容だが、実際には、合意の有無や時期、場所を問わず、男性軍人間の性的行為にのみ適用された。
軍刑法に「暴行・脅迫で軍人などに醜行を行なった者は、1年以上の有期懲役に処する」という強制醜行罪(第92条の3)が別に作られ、事実上死文化した条項だったが、2017年に陸軍中央捜査団は性的マイノリティの軍人を探しだした後、この条項を適用して23人を立件した。これに対して最高裁全員合議体は昨年4月、「私的空間で合意のもとでなされた同性軍人の間での性行為には、軍刑法醜行罪を適用できない」として、14年前の判例を覆した。
憲法裁判所の法廷意見(5人)は、最高裁の判例変更を口実にして、この条項を合憲と判断した。同性軍人の間で合意のもと勤務地または任務遂行中に性的行為をした場合は処罰しなければならないが、この条項を違憲と判断すると処罰できなくなるという論理だ。
憲法裁判所は、「勤務地または任務遂行中」の異性間の性行為には刑事処罰をしないにもかかわらず、同性間の性行為だけを刑事処罰する点についても、「平等の原則には反しない」と判断した。憲法裁判所は、絶対多数の軍兵力が男性である点、若い男性の軍人が長期間閉鎖的な団体生活を行うという点を挙げ、一般社会と比較すると同性軍人の間で性的行為が発生する可能性が高いと判断した。事実上、憲法裁判所が性的指向に対する無理解と偏見に基づいて「平等原則の背反の有無」を判断したわけだ。
この日、キム・ギヨン裁判官、ムン・ヒョンベ裁判官、イ・ミソン裁判官、チョン・ジョンミ裁判官は、違憲意見を出した。この4人は「醜行は被害者の意思に反してなされる行為だが、同性軍人の間での自発的な意志の合致があったとすれば、私的空間ではない場所でなされた性的行為であっても、もはや『醜行』には該当しない」として、「この条項は抽象的かつ曖昧であり、包括的な用語だけを用いた法執行機関の恣意的な法解釈の可能性を招いている」と明言した。
さらに、キム・ギヨン裁判官、イ・ミソン裁判官、チョン・ジョンミ裁判官は別途意見で、「軍規という抽象的な公益を追求するという名目で、いかなる強制力も伴わない性的行為を刑事処罰の対象とすることは、個人の内密な性的指向に甚大な制約を加えるもの」だと付け加えた。
軍刑法醜行罪が憲法裁判所の審判台に上ったのは今回で4回目。憲法裁判所は、2002年、2011年、2016年の3回にわたり軍刑法醜行罪を合憲と決定した。2016年も「違憲意見」の裁判官は4人で、違憲決定の定足数(6人)を満たせなかった憲法裁判所は、7年ぶりに軍刑法醜行罪を再び審判台に載せたが、「違憲意見4人」から一歩も進むことができなかった。
市民社会は差別を容認した憲法裁判所の退行的な決定を糾弾した。軍人権センターは声明を通じて、「2017年の陸軍の性的マイノリティ軍人の摘発事件から分かるように、この法律は常に悪用されており、多くの性的マイノリティの軍人を性的指向を理由に苦しめる」として、「裁判官は、醜行罪が軍内の同性間の性暴行被害者を守るために存続させる必要があると主張するが、現実には、被害者を縛りつけて処罰する手段として悪用されている。世の中がどのように変化していっているのか、法がどのように運用されるのかを調べることもなく、偏見と我執にとらわれ退行的な決定を下した」と批判した。