政府与党による医学部入学定員拡大案の発表が迫っている中、野党「共に民主党」もこれに賛成していることから、異例にも与野党にコンセンサスが形成されている。しかし民主党は公共医学部の設立などが前提となるべきだとしている一方、与党「国民の力」はそれを検討していないため、合意は難航が予想される。
民主党のホン・イクピョ院内代表は18日の最高委員会議で「小児科や産婦人科などの必須医療の崩壊を防ぐと共に、医療の地域不均衡を解消するためには、もはや先送りできない課題であるため、(医学部定員拡大に)原則的に賛成する」と述べた。
ただし民主党は、公共医学部(卒業後、医療脆弱地域で一定期間勤務することを義務づける代わりに、奨学金で学費を全額まかなう医学部)と地域医学部の設立、地域医師制(地域医学部生の一部に奨学金を与え、一定期間その地域の病院で勤務させる制度)の導入などを条件に掲げた。これらは、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に推進されたものの、大韓医師協会の激しい反対で座礁した公共医療強化政策だ。ホン・イクピョ院内代表は、「(このような政策なしに)医学部の定員だけを増やすのは、国民の健康とは関係のない局面転換用のカード」だと述べた。民主党の一部からは、来年4月の総選挙を前に民生問題の主導権を与党に奪われかねないと懸念する声もあがっている。
国民の力のユ・ウィドン政策委議長はこの日、記者団に対し、医学部の入学定員拡大案について「大きな枠組みを作っている。利害関係者が多いので調整していっている過程」だと語った。しかし、民主党が掲げた公共医学部設立などについては「野党の話だから真剣に傾聴してみる」としつつも、「その必要性に大きく共感することはできていない」と述べた。国民の力は19日の保健福祉部による「必須医療革新戦略」発表後、医学部定員拡大にかかわる利害関係者と懇談会を行うことを検討しているという。
国民の力の元政策委議長であり、国会国防委員会の与党幹事でもあるソン・イルチョン議員はこの日、記者会見行い、長期服務する軍医官を養成する「国軍医務士官学校」の設立を主張した。医師数が増えたとしても医療市場における需給の不均衡が避けられない軍医官を別途に養成しようとの趣旨だ。