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韓国の国防長官候補が暴言「大韓帝国は日本より幸せだったのか」

登録:2023-09-26 01:27 修正:2023-09-26 09:49
シン・ウォンシク候補の典型的な植民地史観が物議
シン・ウォンシク国防部長官候補が19日午前、ソウル龍山区の陸軍会館に設けられた人事聴聞会準備事務所に出勤している/聯合ニュース

 12・12(1979年、全斗煥による軍事クーデター)および5・16(1961年、朴正煕による軍事クーデター)擁護に続き、「李完用(イ・ワニョン)は売国奴だったが、仕方ない面もあった」という発言で「親日植民地史観」と批判されているシン・ウォンシク国防部長官候補が、かつて「大韓帝国が存続したからといって、日帝より幸せだったと我々は確信できるのか」と述べていたことがさらに明らかになった。

 専門家たちはこの発言について「典型的な植民地史観」だと指摘している。27日に人事聴聞会を控えているシン候補の歴史観をめぐり、波紋が広がる見通しだ。

 大韓民国守護予備役将軍団が運営するユーチューブチャンネル「将軍の声」を25日に確認したところ、2019年8月14日にアップロードされた「[特別対談]韓日対立、GSOMIAはどうなる?」と題する動画で、シン候補は「文在寅(ムン・ジェイン)政権は意図的に韓日関係を悪化させた。このような時には国民が正さなければならない。反日や克日とは何か、また19世紀末の時代状況を考えるべきだ」としつつ、上のように述べた。

 同氏は、朝鮮をめぐって当時日本と覇権競争を繰り広げた清、ロシアなどの列強に言及しながら、「歴史にイフ(if)はないが、あの当時誰が勝っても準備ができていない大韓帝国にとっては災いだった。朝鮮を継承した大韓帝国には人権があったのか、個人の財産権があったのか。大韓帝国が存続したからといって、日帝より幸せだったと我々は確信できるのか」と語った。

 そしてシン候補は、「(日本が)我々を占領したことを憎むのはこれまでにし尽くしたし、謝罪を受けて金を受け取った。もう忘れて、二度と私たちがこのような目にあわないように富国強兵をしなければならないという教訓を得ることが重要だ」と主張した。

 日本政府が韓国の最高裁判所による強制動員被害者への賠償を命じる判決に反発して韓国をホワイト国(輸出審査優遇国)から排除し、両国の対立が最高潮に達する過程で、文在寅政権を批判したものだ。

2019年8月14日にユーチューブチャンネル「将軍の声」にアップされた動画「[特別対談]韓日対立、GSOMIAはどうなる?」に出演したシン・ウォンシク国防部長官候補=将軍の声より//ハンギョレ新聞社

 これについて高麗大学のチョン・テホン教授(韓国史学科)は、「シン候補の発言は典型的なニューライト史観、帝国主義的植民地史観だ」とし、「解放されず、日本の植民地のままであった方が良かったという考え」だと指摘した。

 日本帝国主義が植民地支配を正当化するために作り出した植民地史観は、朝鮮は自ら崩壊し、日本の侵略は必然だったと主張する。ニューライトは、日帝の植民地支配が韓国の近代化に大きく寄与したという植民地近代化論を主張してきた。チョン教授は「このような歴史認識の所有者が国防の責任者になれば、外国による侵略の脅威があればにすぐに降参するだろう」と批判した。

 「日本から謝罪を受けたのだから、もう忘れてしまおう」というシン候補の主張についても、チョン教授は「日本は謝罪したことがあるが、すぐに覆し、今日に至っている。現在、日本の歴史清算はゼロ」だと指摘した。

 これに対してシン候補側は「あの発言は我々が外国勢力の侵略や支配にあわないように力を蓄えるべきという趣旨」だとし「韓国が植民地になったことを我が民族内部の過ちのせいにしたり、日本の侵略責任を無視したりしたことはない」との立場を表明した。

78年ぶりに故国の地に戻った独立運動家、洪範図将軍の遺体が2021年8月15日午後、国立大田顕忠院に臨時安置されている/聯合ニュース

 陸軍士官学校校内の洪範図(ホン・ボムド)将軍の胸像の撤去を先頭で主張したシン候補は、指名直後から植民地史観を連想させる過去の発言や文在寅前大統領に対する暴言などで批判にさらされている。

 2019年9月4日にあるユーチューブチャンネルの番組に出演した際には、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の5・16軍事クーデターを「社会・経済・哲学的に革命」だと主張し、全斗煥(チョン・ドゥファン)新軍部が主導した「12・12軍事クーデター」については「あの当時(全斗煥氏は)国を救わなければと考えて出てきたのだと思う」と主張して物議を醸している。

 ウェブサイト「チョ・ガプチェ・ドットコム」に掲載された2019年8月24日の自由韓国党(「国民の力」の前身)の集会での演説の原稿では「私たちは売国奴の象徴として李完用を非難するが、当時の大韓帝国は日本に抵抗したとしても日本との国力の差が非常に顕著だったため、独立を保つことは難しかった。李完用は売国奴だったが、一方では仕方のない面もあったのは事実」だと主張している。シン候補側は「売国奴の李完用を擁護したものではなく、要は文在寅政権の外交安保政策の方が李完用より国益に反するということを強調したもの」だと釈明している。

イ・ユジン、クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1109972.html韓国語原文入力:2023-09-25 15:04
訳D.K

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