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ジャンボリー事態の収拾に「国家総動員令」…警察と消防に「宿舎24時間警備」=韓国

登録:2023-08-10 06:16 修正:2023-08-15 11:32
治安・災害への対応の「空白」が懸念される
台風6号「カーヌン」が北上中の9日午後、イ・サンミン行政安全部長官がソウル中区の臨時ジャンボリー・プレスセンターで、台風非常避難現況について述べている/聯合ニュース

 準備不足で混乱を重ねた「2023セマングム世界スカウトジャンボリー」事態を収拾するため、韓国の国家機関と公共機関が総動員されている。韓国電力や産業銀行など公共機関の職員1千人余りが「ジャンボリーK-POPコンサート」の案内要員として動員されており、万が一の状況に備えて待機すべき警察・消防関係者までスカウト隊員の宿舎の管理に投入されている。無理な動員で治安と災害への対応に「空白」が生じるのではないかという懸念の声もあがっている。

 ハンギョレの取材によると、8日のスカウト隊員たちの宿舎への移動を管理するため、警察1850人をはじめパトカー251台と白バイ22台、ヘリ4台など大規模な人員と装備を配置した警察庁は、9日も首都圏を中心に、隊員たちが泊まる寮など宿舎のパトロールなどに大規模な人員を出した。市道庁所属の機動隊をはじめ、警察署の刑事まで投入されている。

 警察内部からは不満の声もあがっている。最近、無差別刺傷事件など治安の需要が急増した状況で、ジャンボリーの後始末まで引き受けなければならないのかといった内容だ。ジャンボリー隊員たちが泊まるある大学の寮の前に動員された刑事はハンギョレに「強力犯罪イシューも続き、昼夜を問わず動員されている。昼間は隊員たちが体験などで外に出るため宿舎には誰もいない。なのに、刑事が宿舎を守る必要があるのか分からない」と語った。

 会社員のコミュニティ「ブラインド」にも「あらゆる雑用を押し付けられている」という不満が続出した。同コミュニティには「ジャンボリー参加者たちの宿舎をなぜ警察が一時間ごとに見回りながら把握しなければならないのか」、「宿舎の24時間警備にもあたっている」、「水が(正常に)出てくるのかも点検しろと言われた」などの書き込みが相次いだ。

 台風「カーヌン」北上を控えて緊張態勢に突入した消防も困惑している。ソウル消防災害本部は、前日午後6時からソウル内の13の宿舎ごとに消防公務員を2人ずつ配置した。万が一の場合の避難誘導や火災鎮圧などのためだ。特に、11日に閉営式が行われる場所には消防士250人余りが配置され、救助隊3隊、救急隊6隊、火災鎮圧隊1隊が投入される。全国的にも500人以上収容する宿舎21カ所にも消防関係者が配置されている。

 現場では「万一の場合」を懸念する声が高まっている。ある消防関係者は「予定にない当直が増え、職員たちの苦労が増えている」と現場の雰囲気を伝えた。オンラインコミュニティにも「消防なのにジャンボリー宿舎を守るため派遣された。うちのチームにも人が足りないのに、救助隊だからといって強制的に派遣された」などの書き込みが掲載された。消防庁は台風が北上するなど非常事態が予想されるだけに、現場に出動する人員を動員するのは最小限にとどめていると説明した。主に行政担当職員を動員しているという。消防庁関係者は「K-POPコンサートは他の市道本部を動員することなく、ソウル本部だけで(対応が)可能だと思われる」とし、「ジャンボリーと関連しては必要最小限の人員で対応し、残りは台風現場活動に集中する方針だ」と述べた。

 公共機関も総動員されている。ジャンボリー組織委は前日、企画財政部に公共機関の協力を要請したという。セマングム世界ジャンボリー法がその根拠だ。ジャンボリー法は組織委が国家や地方自治体、公共機関などに行政的・財政的な協力および支援などを要請でき、特別な理由がない限り、機関はそれに最大限協力しなければならないと定めている。

 「総動員令」は主に11日にソウル麻浦区上岩洞(サンアムドン)で開かれる「ジャンボリーK-POPコンサート」のために発令された。全国に散らばっている青少年たちが公演会場に集まった後、再び宿舎に戻らなければならないためだ。全国各地から出発する隊員たちを引率できる英語が話せる人を短時間で探すため、公共機関に協力を要請しているというのが政府の説明だ。

 企画財政部の公共政策局担当者は「組織委が公共機関別に直接要請できないため、我々に頼んできた」とし、「地域別に大きな機関を中心に40余りの機関、1千人程度を考えている。出張費と日当も支給する計画だ」と述べた。

 産業銀行、企業銀行、輸出入銀行、韓国電力などの公共機関は要請に応じて人材を確保している。公企業に勤めているある職員はハンギョレに「他の時でもなく台風警報が発令されている中、急に人員を派遣しろというのは無理があると思う」とし、「志願を受け付けるといっても、公共機関は政府の影響を多く受けるため、純粋に志願だとは言えない」と不満を漏らした。

 政府支援団の幹事を務めるイ・サンミン行政安全部長官は同日の記者説明会で、K-POPコンサート関連の「公務員動員令」に対する立場について尋ねられると、「公務員の動員については分からない」とし、「ボランティア1000人余りを募集している段階だと聞いており、特に動員された公務員はいないと聞いている」と答えた。実際、麻浦区庁は同日、緑の母親会など6つの職能団体にボランティアの募集を要請してもいる。

キム・ガユン、チャン・ナレ、ソン・ジミン、ナム・ジヒョン、キ・ミンド記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1103720.html韓国語原文入力:2023-08-10 01:08
訳H.J

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