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履行伴わない浸水対策…韓国で毎年夏に「地下車道惨事」が繰り返されるわけは

登録:2023-07-18 06:38 修正:2023-07-18 07:26
美湖川堤防の流失で浸水した忠清北道清州市五松邑宮坪2地下車道で、17日未明、排水作業が行われている/聯合ニュース

 韓国で集中豪雨による地下車道の惨事が毎年繰り返されているが、関連施設の設置や行動要領を盛り込んだマニュアルの整備は遅々として進まない。専門家たちは、一度水が溜まり始めると急速に増える地下車道の特性上、積極的に車の進入を防ぐためのマニュアルの整備が欠かせないと助言する。

 15日に発生し、13人が死亡した忠清北道清州市五松邑(オソンウップ)宮坪第2地下車道の浸水事故は、適切に通行止めさえ行われていれば防げた事故だったという点で、3年前の釜山(プサン)草梁地下車道浸水事件と類似している。2020年7月23日当時、釜山草梁(チョリャン)一帯には1時間当り80ミリを超える豪雨が続き、常習浸水地域の草梁第1地下車道にも水が溜まっていた。しかし、釜山市と東区(トング)役所はいずれも地下車道への車の通行を止めなかった。車の通行を統制するシステムは3年間故障したまま作動していなかった。結局、バスから抜け出せなかった3人が死亡した。

 昨年9月、関連公務員11人に対して有罪判決を下した草梁地下車道事件の1審裁判所は「草梁地下車道には通行を統制するシステムがあったが、当時きちんと指針が守られず、事故が発生した。対策を立ててもきちんと履行しなければ水の泡になるという事実がこの事件で明らかになった」と判決の理由を説明した。

 五松地下車道の場合、美湖川(ミホチョン)橋付近の臨時堤防の一部が決壊し、水6万トン余りが地下車道に流れ込んだことで、2~3分のうちに急速に浸水した。排水ポンプはあったが、突然流れ出した水に耐えるには力不足だった。忠清北道関係者は「氾濫で短い時間に河川の水が流入したため、(通行を)統制する時間がなかった」と釈明したが、相次ぐ通報と洪水警告にもかかわらず、警察と地方自治体などが交通規制を敷かず、大きな被害をもたらした。

 車の進入を防ぐ施設の整備も適時に行われなかった。釜山地下車道浸水後、行政安全部は2020年に浸水の恐れがある地下車道145カ所を指定し、遮断器を設置すると発表した。だが、五松地下車道は「安全な施設」に分類され、その「145カ所」には含まれなかった。行安部の関係者は「(五松地下車道は)浸水したことがなく、車線が狭いわけでもないため、忠清北道側が安全だと判断した」と説明した。

 忠清北道は先月、行政安全部から特別交付税の配分を受け、遮断施設の設置のための予算を編成したが、設置する前に今回の事態が発生した。又石大学消防防災学科のコン・ハソン教授は「安全に対する予算編成を最優先しなければならないのに、後回しにするからこのような問題が繰り返される」とし、「地下車道にも自動遮断施設を設置し、遠隔遮断システムを導入するという対策があったが、早く施行されなかった」と指摘した。

 現場のマニュアルが局地性集中豪雨の多い最近の気候の変化を反映していないという指摘もある。京畿道のある地方自治体の災害管理担当者は「交通統制は全般的な危険状況などを考慮して判断することになっている。あまり先制的に対応すれば、市民が一部の交通規制を無視する場合まである。突然の環境変化に対処しにくい側面がある」と語った。光州大学建築工学科のソン・チャンヨン教授は「昨年の江南駅の浸水事件も118年の頻度で発生したことだが、対応できなかったという問題がある」とし、「気候の変化により大雨など極端な自然災害が起きているが、災害への対応方式の基準はこれに合わせて変わっていない」と話した。

パク・スジ、チャン・ナレ、ユン・ヨンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1100566.html韓国語原文入力:2023-07-18 00:47
訳H.J

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