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北朝鮮当局、米偵察機に相次いで談話発表…「経済水域侵犯」主張のねらいとは

登録:2023-07-12 06:22 修正:2023-07-12 07:26
キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会副部長/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 キム・ヨジョン朝鮮労働党中央委員会副部長を含む北朝鮮当局が10~11日の2日間、3回にわたり東海(トンヘ)における米軍の偵察飛行に撃墜の可能性にまで触れる警告の談話を相次いで発表した。北朝鮮は特に、これまで言及しなかった東海の経済水域を取り上げ、「接近禁止・領域拒否(A2/AD)」戦略を取る姿勢を示しており、偶発的な衝突の可能性がさらに高まっている。

 キム・ヨジョン副部長は11日早朝、「朝鮮中央通信」を通じて発表した談話で、「繰り返される無断侵犯の際には米軍が非常に危険な飛行を経験することになるだろう」と主張した。キム副部長は前日午後9時にも「米軍偵察機が高城(コソン)から東に400キロメートルの海上の上空から北方海上軍事境界線を侵犯した」とし、「再び侵犯した場合は明確かつ断固たる行動で対応する」という談話を発表した。北朝鮮は同日の10日朝、国防省報道官が「米戦略偵察機が東海上で撃墜される事件が起きないという保証はどこにもない」という内容の談話も発表した。

 キム副部長の談話で目を引くのは、これまであまり取り上げなかった東海の経済水域に触れた部分だ。キム副部長は11日の談話で「今月10日、米空軍戦略偵察機は5時15分から13時10分まで江原道通川(トンチョン)から東に435キロ~慶尚北道蔚珍(ウルチン)から東南に276キロの海上の上空から、朝鮮東海のわが経済水域上空を8回にわたって無断侵犯し、空中偵察行為を敢行した」と主張した。10日の談話でも「米国のスパイ飛行機がわが海上軍事境界線を越えて侵犯を繰り返すわが経済水域の上空、その問題の20~40キロ区間では、やがて衝撃的な事件が発生するだろう」と述べた。1953年に締結された停戦協定には陸上の軍事境界線(MDL)だけが設けられており、海上軍事境界線は南北の意見の相違のため明記されなかった。

 米軍偵察機が東海の「経済水域」を侵犯し、空軍が対応出撃したというキム副部長の談話から、今後北朝鮮は排他的経済水域(EEZ)を防空識別圏(ADIZ)のように運用することを目指すものとみられる。EEZは自国沿岸から200海里(370.4キロメートル)までの水域であり、防空識別圏は自国領空に対する防御態勢を整えるため、領空外の一定地域に任意に設定したもの。領空とは異なる概念で主権が及ばない領域だ。

 このため、北朝鮮が米国の戦略資産展開と対北朝鮮偵察活動が頻繁になる状況で、中国と類似した「接近禁止・領域拒否(A2/AD)」戦略を講じるのではないかという分析もある。

 韓国軍合同参謀本部のイ・ソンジュン広報室長は11日の定例会見で、「EEZには航行と上空飛行の自由がある」としたうえで、「ここを飛行したからといって(通常)侵犯したとは言わないが、(北朝鮮が)これを主張するのは内部的な目的があり、挑発の名目を蓄積しているとも考えられる」と述べた。ハンギョレ平和研究所のチョン・ウクシク所長も「ADIZには決まった距離はないが、多くの国はEEZ付近の上空を基準にしている。北朝鮮がEEZの上空に言及したことも、これをADIZと同一のものとしてみなしている可能性を示唆する」と指摘した。

 相次ぐ「キム・ヨジョン談話」が尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に送る警告メッセージだという分析もある。元政府高官は「キム・ヨジョン副部長の二度にわたる談話は、形式の上では米国を狙ったものだが、尹錫悦政権に対する警告の性格がより強いとみられる」とし、「北朝鮮に非常に強硬で攻撃的な尹大統領に対し、『実際軍事的衝突が起きれば果たして誰が不利になるだろうか』という警告めいた質問を投げかけたもの」だと語った。

イ・ジェフン先任記者、クォン・ヒョクチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1099707.html韓国語原文入力:2023-07-12 02:44
訳H.J

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