韓国で26日に飛行中の旅客機の非常ドアをある乗客が強引に開け、客室乗務員が身を挺して塞いだことが報道された中、乗客の安全に責任を負う乗務員の服装はもう少し楽なものの方が良いのではとの意見が改めて主張されている。
大邱(テグ)国際空港の関係者が撮影した、26日の「旅客機非常口開放」事故で滑走路に着陸した事故機の写真を確認したところ、ある乗務員が非常口に安全バーを設置したうえで両腕を広げて塞いでいる。写真がSNSで拡散すると「とても動きづらそうに見える」との声があがった。あるネット市民は、「航空会社の乗務員のユニフォームをズボンに変更してはどうか。写真を見るととても動きづらそうだ」と述べた。
乗務員の業務遂行にとってユニフォームのスカートは妨害要素だとの指摘はかなり以前からあった。今回の事故のような急迫した非常事態では、乗務員が椅子の上にあがって乗客を案内しなければならない可能性もあり、緊急の患者に心肺蘇生法を施さなければならないこともありうるが、スカートはこのような活動を制約せざるをえないからだ。国家人権委員会は2013年2月にアシアナ航空に対して「女性乗務員がズボンの勤務服も選択できるようにせよ」と勧告している。その後、女性乗務員は各社で支給されるユニフォームの中から自由に選べるようになっている。ズボンを履かなければならない、あるいはスカートを履かなければならないなどの規定はなくなった。しかし雰囲気上ズボンは履けないという指摘は、その後もなくなっていない。実際にアシアナ航空は、基本ユニフォームとしてはズボンを支給していない。支給するのは申請者に対してのみだ。
航空各社は、支給されたユニフォームのどれを着るかは「乗務員が自主的に決めるべきこと」との立場だ。A航空会社の関係者は「会社としては乗務員の服装をズボンで統一できれば良いと思う。ただし望まない乗務員も多い。(好みに応じて)自分でユニフォームの幅を詰めて着る人もいる。そうしないよう強制したらむしろ大事(おおごと)になるだろう」と述べた。B航空会社の関係者は「ズボンを履いたからといって、乗客にとってより安全になるわけではない。(安全を最優先とするなら)すべての乗務員が作業服を着るべきだ」と述べた。客室乗務員たちは非常脱出に備えた訓練を毎年行っているが、訓練の際はジャンプスーツの訓練服を着ている。安全のためならそのようなユニフォームを着るべきだというのだ。
客室乗務員の法的地位は安全業務従事者だ。航空安全法は彼らを「航空機に搭乗して非常時に乗客を脱出させるなど、乗客の安全のための業務を遂行する者」と規定している。航空保安法も、客室乗務員は「機長の委任を受けて航空機の安全を害する行為などを制止できる」と定める。「客室サービス業務」よりも「安全」に重点を置いた服装規定が必要だと指摘される理由はここにある。アシアナ航空労組のパク・シウン副委員長は「安全要員がスカートを履くケースはないのではないか。一元化してズボンを履くことが必要に思える」と指摘した。