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70年目の韓米同盟、北朝鮮の「南侵阻止」から「中国けん制」へと拡大か

登録:2023-05-15 09:41 修正:2023-05-15 11:54
ハンギョレ創刊企画-休戦・韓米同盟70年(1) 
 
終わらない戦争、DMZ・ハンフリーズで「平和」を問う 
テイラー報道担当「在韓米軍、北東アジア全域で韓米の利益守る」
アイザック・テイラー在韓米軍報道担当=在韓米軍提供//ハンギョレ新聞社

<朝鮮戦争休戦協定(7月27日)と韓米相互防衛条約(10月1日)が結ばれて今年で70年になる。「休戦」は戦争がしばらく止まった状態であり、戦争が終わったわけではない。休戦後、北朝鮮の再侵攻に備え強力な軍事同盟を求めた韓国の要求で、韓米相互防衛条約が結ばれた。休戦70年を迎え、江原道洪川(ホンチョン)の朝鮮戦争戦死者遺骨発掘現場と、緊張感の漂う華川(ファチョン)の第7師団非武装地帯(DMZ)を訪れた。いまも全国各地の丘や高地には10万体を超える戦死者の遺骨が雪雨にさらされ、埋まっている。この遺骨が家族の元に戻るまでは、朝鮮戦争は「終わらない戦争」だ。

 70年同盟の現状を確認するために、韓米同盟の象徴とされる京畿道平沢(ピョンテク)の在韓米軍基地(キャンプ・ハンフリーズ)を訪れた。単一基地としては世界最大規模だというキャンプ・ハンフリーズは、端が見えないほど大きかった。名実共に、対中国けん制の前哨基地として十分な規模に見えた。米軍基地が引き上げたソウル市龍山(ヨンサン)と、米軍が集まった平沢で、70年を迎えた韓米同盟はそれ自体が目的なのか、韓国の国益のための手段なのかを考えてみた。(編集者)>

ハンギョレ創刊企画-休戦・韓米同盟70年//ハンギョレ新聞社

 韓米同盟の根幹となる韓米相互防衛条約が、今年10月1日で締結70年を迎える。この条約は韓国が外国と結んだ軍事同盟としては初めてであり、いまでも唯一の同盟条約だ。しかし、条約が締結された当時と現在では、韓米同盟の性格は大きく変わった。70年前、韓米同盟は北朝鮮の南侵を阻止する目的が明確だったが、今はウクライナ戦争や米中競争の構図の中で、韓米同盟の役割も変わっている。

 在韓米軍のアイザック・テイラー報道担当は、14日のハンギョレとのインタビューで「ウクライナ戦争と北朝鮮の脅威の高まりなど、国際情勢が不安な中、在韓米軍はどのような態度を取るべきか」という質問に対し、「在韓米軍は抑止力を確保するのに役立つ韓国との戦闘防衛態勢を維持しなければならない」とし、「(対北朝鮮)抑止力が失敗した場合、すぐにでも戦う準備をしなければならない」と述べた。韓日米が安保協力の水準を高めていることについては、「韓国と日本は地域の平和と安保を可能にする重要な同盟国」だとし、「我々は皆、北朝鮮の核・ミサイル脅威に対する懸念を共有している」と述べた。

 テイラー氏は、尹錫悦大統領とジョー・バイデン大統領が先月の韓米首脳会談で韓米核協議グループ(NCG)構築を盛り込んだ「ワシントン宣言」を採択したことに大きな意味を与えた。「1953年に休戦協定および相互防衛条約が締結されて以来、韓国と米国は朝鮮半島と北東アジアの平和と安保を維持するために肩を並べている。ワシントン宣言はこの同盟と絆の最も新しい事例だ」

 しかし、米中の競争構図が強くなり、韓米同盟が中国けん制に動員されるかもしれないという懸念も高まっている。2006年の韓米外相戦略対話での共同声明で発表された「戦略的柔軟性」によって、中国と台湾間の戦争が勃発した場合、在韓米軍が動員される可能性があるとみられている。戦略的柔軟性とは、米国の海外駐留米軍の再配置検討(GPR)によって米軍を特定地域に固定配置せず、柔軟に配置するという概念だ。中央大学のイ・ヘジョン教授(政治国際学)は、「韓国は北朝鮮の脅威への対処を韓米同盟の目的と認識しているが、米軍は朝鮮半島だけを考えているわけではない」とし、「米国は、韓国の必要に応じて米軍が駐留しているという理由を掲げ、戦略的柔軟性を発揮しようとするだろう」と述べた。亜洲大学米中政策研究所のキム・フンギュ所長は、「これまでは韓米同盟が北朝鮮の南侵と挑発を抑制するための機能に忠実だったとすれば、今は中国の挑戦があまりにも強力なため、韓米同盟を対中同盟の一部として活用したいという米国の考えが非常に強い」と述べた。

 これに関してテイラー氏は「私が言えることは、在韓米軍が北東アジア全域で韓国の主権と米国の国家安保利益を守るために韓米同盟を強化し、高い水準の戦闘態勢と強力な連合防衛態勢を維持するために努力し続けているということ」だと慎重に述べた。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1091737.html韓国語原文入力:2023-05-150 8:32
訳C.M

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