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「尹政権の政策決定過程は崩壊寸前」…外交・安保の全体的な乱脈ぶり

登録:2023-03-31 07:04 修正:2023-03-31 08:33
朝鮮半島の緊張感の高まり、米中戦略競争など 
複合危機の難題が山積しているが… 
韓米首脳会談を前に安保室長交替 
尹錫悦大統領が30日、ソウル龍山の大統領室庁舎でチョ・テヨン新国家安保室長に任命状を授与した後、一緒に退場している/聯合ニュース

 キム・ソンハン前国家安保室長ら外交・安全保障関係者の異例かつ突然の交替によって、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足以来続く外交・安保政策の総体的な乱脈ぶりが象徴的に示されたとする指摘が出ている。今回の決定が下された理由と過程は不明で、事後説明は省略された。朝鮮半島の緊張の高まりと米中戦略競争をはじめとする経済・安全保障の複合危機が深まるなか、韓米首脳会談という重要な外交日程を目前にしている時期に、危機対応をきちんとやり遂げられるのか懸念が高まっている。

 尹大統領が約20日後の米国国賓訪問を控えて国家安保室長や駐米大使、大統領室外交秘書官、儀典秘書官など外交・安全保障関係者の中心を大勢交替したのは、きわめて異例のことだ。直接の発端は、訪米時の文化行事に関する報告がなされなかったためだと言われているが、外交・安全保障チームに対する尹大統領の不満、安保室と外交部間の摩擦、安保室内部でのあつれきなどが累積して起きた事態だとする解釈が多い。政府の元外交・安保当局者は30日、本紙に「キム前室長の更迭の過程をみて、外交・安保政策の決定過程自体が崩壊寸前だという印象を受けた」と述べた。

 尹錫悦政権は重大な外交・安全保障の課題に直面している。北朝鮮は最近、地上と空中に続き水中での核魚雷実験を実施し、戦術核弾頭(火山-31)の実物写真を公開するなど、韓国と米国に対する脅威を高めている。韓日首脳会談も「屈辱外交」という批判のなか、日本の「誠意ある呼応」を引き出さなければならない難題を抱えている。米国との関係でも、韓米同盟の強化という政府の基本方針にもかかわらず、自国の利益を最優先にするジョー・バイデン政権を相手に国益のバランスを合わせなければならない。政府は、駐米大使として米国と対話してきたチョ・テヨン室長には業務の連続性があり、来月26日の韓米首脳会談の準備に支障はないと強調するが、韓国企業に不利な米国のインフレ抑制法(IRA)や半導体法(CHIPS法)などで譲歩を勝ち取るのは容易ではない課題だ。キム・ソンハン前室長は、5~9日に米国を訪問するなどして米国側と尹大統領訪米での議題と日程などを調整してきた当事者だ。

 今回の件はまた、省庁や実務レベルの協議の結果を尹大統領がなぎ倒してしまう現政権の外交・安保政策の特徴を繰り返し示してもいる。日帝強制動員解決策の問題が代表的な事例だ。外交部は尹政権発足直後から、局長級から長官・次官まで様々なチャネルを通じて、謝罪と賠償への参加という日本側の「呼応措置」を要求してきた。だが、韓日関係改善を急いだ尹大統領が「すべての責任は私が負う」として日本側の要求を全部受け入れた。

 野党「共に民主党」のパク・ホングン院内代表は、この日国会で開かれた政策調整会議で「業務区分もプロトコルもシステムもなしに、いつにも増して複雑な外交・安全保障の乱脈ぶりをどうやって解決していくつもりなのか問わざるを得ない」と指摘した。

チョン・インファン記者、シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1085947.html韓国語原文入力:2023-03-31 02:41
訳M.S

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