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脳病変の娘を殺害した母親の涙に…寛大な判決に続き検察も控訴放棄=韓国

登録:2023-01-28 06:47 修正:2023-01-28 08:25
一人で娘の排泄物の処理までしながら38年間介護 
一審で執行猶予…検察市民委「上訴権放棄すべき」
/聯合ニュース

 38年間にわたり重度の障害を持つ娘の介護をしてきた末に殺害した60代の母親に、韓国裁判所が寛大な判決を下した中、検察も控訴を放棄した。

 27日、仁川(インチョン)地検の説明によると、検察は殺人容疑で懲役刑の執行猶予を言い渡されたA被告(62)の一審判決に対して控訴しなかった。検察は昨年12月、結審公判でA被告に懲役12年を求刑した。通常、検察は求刑量の半分以下の刑が宣告されれば控訴する。一審裁判所はA被告に懲役3年に執行猶予5年を言い渡した。

 検察関係者は「検察市民委員会が満場一致で上訴権放棄の意見を出した」とし、「捜査および裁判過程で、被告が長期間にわたり真摯に被害者を介護しており、被害者がステージ3の大腸がんの診断を受け、抗がん治療中に苦痛の表現さえできないほど衰弱した点などが考慮された」と述べた。検察市民委員会は学者や主婦、市民団体の活動家、家庭内暴力カウンセラーなど10人で構成され、検察の諮問委員会の役割を果たしている。

 一審裁判所も、検察の求刑に比べて低い刑量を言い渡した理由として「国家や社会的な支援が不足している中、家族は障害者を介護するすべての責任を負わされ、苦しんでいる。今回の事件も被告人だけの問題とみるのは難しい」という点を挙げた。

 A被告は昨年5月23日午後4時30分頃、仁川市延寿区(ヨンスグ)のあるアパートで30代の娘Bさんに睡眠薬を飲ませた後、殺害した疑いで在宅起訴された。A被告は犯行後、自分も睡眠薬を飲んで自殺を図ったが、6時間後にマンションを訪れた息子に発見されて助かった。脳病変1級の重度障害者のBさんは、生まれた時から体が不自由で、事件発生数カ月前には大腸がんステージ3の判定を受けていた。

 A被告は生計を立てるために他地を転々としながら働く夫と離れて過ごしており、意思疎通がうまくできない娘の排せつ物の処理までしながら38年間介護してきた。A被告は法廷で「当時はこれ以上耐えられないと思った。『私が死んだら娘は誰が面倒を見るのか。ここで終わらせよう』と思った」と涙ながらに供述し、法廷を粛然とさせた。

キム・ギソン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1077190.html韓国語原文入力:2023-01-27 16:08
訳H.J

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