尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が26日、来年から警察に移管される国家情報院の対共捜査権をめぐる問題について、「海外捜査とつながっているため、国内にいる警察が捜査を担当する部分については見直す余地がある」と述べた。与党「国民の力」の「国情院の対共捜査権存置」主張を後押ししたものといえる。ただし、野党勢力が優位を占めている国会が国情院法を再改正するまでは、国情院、警察、検察が協力する「合同捜査チーム」体制に注力する構想も明らかにした。これは国情院の政治介入と人権侵害、事件のでっち上げなどの弊害を正すため、対共捜査権を廃止する国情院法改正の趣旨に反するものであり、議論が予想される。
尹大統領はこの日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で与党指導部との昼食会で、チョン・ジンソク非常対策委員長の建議に対し、上記のように述べた。国民の力のヤン・グムヒ首席報道担当は昼食会後の記者会見で、「対共捜査権が来年警察に移管される問題について、対策が必要だと尹大統領に申し上げた」とし、「対共捜査は今回のスパイ団事件でもわかるように、カンボジアなど外国で北朝鮮との接触が行われる場合が多いため、対共捜査権の移譲について検討が必要だということで意見が一致した」と述べた。これに対して尹大統領は「海外捜査とつながる部分があるにもかかわらず、国内警察が捜査を引き受けるのは見直す必要がある」という趣旨で答えた。
「共に民主党」は、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2020年12月、国民の力(当時野党)が反対する中、国情院の対共捜査権を廃止する国情院法改正案を単独で議決した。当時、安全保障関連捜査の空白などを考慮し、施行まで3年間の猶予期間が設けられ、来年1月1日から国情院の対共捜査権は警察に移管される。