日本政府は不完全で偏向した資料を根拠に福島第一原子力発電所の放射能汚染水の海洋放出を決めたという科学者たちの分析が公表された。同原発を運営する東京電力が、かなりの数の放射性核種(物質)を測定せずに汚染水は安全だという結論を下したというのがその理由だ。福島第一原発の汚染水の海洋放出は、早ければ今春から実施される。科学者たちは「日本政府は原発汚染水の海洋放出推進をやめ、代案を模索すべきだ」と勧告した。
ニュージーランドやフィジーなどの太平洋の18の島国が参加する太平洋諸島フォーラム(PIF)の科学者パネルは、26日に韓国の国会で行われた「福島汚染水放出に関する海外専門家招請討論会」で、東京電力の汚染水測定データは放出を決定する根拠とはなり得ないと指摘した。科学者パネルは、昨年3月にPIFが委任した原子力と海洋科学分野の5人の専門家で構成されている。PIFは汚染水放出の影響を受ける当事者として、日本に関連資料を要求し、受け取っている。日本政府は13日、福島第一原発の敷地内にある1000あまりの貯蔵タンクに保管中の約130万トンの汚染水を水で希釈し、今年の春か夏ごろに海に放出することを決めている。
科学者パネルを代表してこの日の討論会に参加した米国ミドルベリー国際大学院のフェレン・ダルノキ・ベレス教授は「日本がPIFに提供したデータは不完全、不適切で一貫性もなく、偏向しているため、何らかの決定を下すには不適切だ」と述べた。さらに「正常稼動中の発電所から、計画され管理された形で汚染水を自然へと放出するわけでもないため、このケースでは汚染水の『放出』ではなく『投棄』という言葉を使うべきだ」と付け加えた。
同パネルは東電の測定資料が偏向していると考えられる根拠として、まず東電が64種類の放射性物質のうちストロンチウム(Sr)90、セシウム(Cs)137などの9つの物質だけに焦点を絞り、残りの55の物質はほとんど測定せずに、常に同じ影響を及ぼす濃度で存在すると仮定していることをあげた。パネルはまた、多核種除去設備(ALPS)を経た汚染水の測定が行われるのは貯蔵タンクがいっぱいになる直前のたった一度に過ぎず、しかもそれは30リットルのサンプルに対するものであるため、汚染水の実際の構成と濃度を理解するには不十分だとも指摘した。
パネルは検討結果報告書で「東電の測定資料には非正常で疑わしい測定値がいくつもある」と述べ、信頼性に対する根本的な疑問も提起している。その代表的な例として、半減期が9.4時間に過ぎない放射性核種であるテルル(Te)127がリットル当たり数十万未満から数百億ベクレル(Bq)まで記録されていることを指摘している。福島第一原発事故で放出されたものなら、半減期から考えてすでにかなり前に崩壊しているはずだからだ。報告書は「溶融した炉心が断続的に危険な状態になるのでないなら、この測定値は東京電力の測定とデータの品質管理手続きに問題があることを示す」と明らかにした。パネルはまた、汚染水に含まれるトリチウム(三重水素)が海の中で有機結合型トリチウム(OBT)に変化して海洋生態系に及ぼす影響、ストロンチウム90の生物濃縮の影響などをまともに検討していないことも重要な問題だと指摘した。
パネルは「希釈が汚染の解決策だという仮定は、科学的に時代遅れで生態学的に不適切だ。放出措置は世代と国境を越えた事案であり、はるかに深い熟考が必要だ」と述べた。これらの科学者は海洋放出の代案として、汚染水を長期間貯蔵して放射線を減らしつつ、動植物と菌類を用いた生物学的方法で汚染を除去した後に、人間の接触が最小化される場所に使用されるコンクリートを製造する際の水として利用する方策を勧告した。