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大統領室、国情院、検察が「ワンチーム」で動いた「北朝鮮送還事件」…2カ月間空回り

登録:2022-12-15 06:33 修正:2022-12-19 10:57
世論から法理まで難関に直面したもよう
統一部は7月12日、2019年11月に板門店で脱北漁師2人を北朝鮮に送還した時の写真を公開した。当時、政府は同僚16人を殺害して脱北した彼らの亡命の意思に真摯さがないとみて、板門店を通じて北朝鮮に追放した。彼らが北朝鮮への送還に反発している様子=統一部提供//ハンギョレ新聞社

 ソ・フン前大統領府国家安保室長を拘束起訴するなど、捜査が終盤に差し掛かっている西海(ソヘ)公務員殺害事件とは異なり、前政権を狙ったもう一つの「公安事件」である脱北漁師の北朝鮮送還をめぐる捜査は2カ月間進展が見られない。大統領室、国家情報院、統一部、検察が「ワンチーム」となって「反人倫的犯罪」だと攻勢を強めた初期とは非常に異なる様相だ。北朝鮮凶悪犯の送還まで捜査対象にしようとした「告発状政治」の落としどころが分からず、検察が困っているのではないかという指摘もある。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に脱北漁師を北朝鮮に送還した過程を捜査しているソウル中央地検公共捜査3部(イ・ジュンボム部長)の捜査は、今年10月で止まっている。検察は8月の大統領記録館の家宅捜索を皮切りに、9月のキム・ヨンチョル元統一部長官とキム・ジュンファン元国家情報院3次長、キム・ユグン元大統領府国家安保室1次長を相次いで呼び出して取り調べた。10月にはノ・ヨンミン元大統領秘書室長も呼び出して調査を行った。しかし、それから2カ月間、これといった動きはない。特に、隣の部署の公共捜査1部が西海事件で拘束したソ・フン前室長に対する取り調べも行われなかったという。他の事件で拘束された被疑者を随時呼び出して取り調べる検察捜査の慣行からして異例のことだ。ソ前室長は2019年11月、脱北漁師を北朝鮮に送還する決定を下した当時、国家情報院長として在職していたが、国家情報院は北朝鮮漁師2人に対する合同調査をソ前室長が早々と終了させたとし、今年7月に告発した。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後、大統領室、国家情報院、統一部、検察、与党「国民の力」は、歯車が回るように役割を分担し、同僚の船員を殺害して脱北した凶悪犯を北朝鮮に送還した文在寅政権の決定が「反人権」だと非難してきた。尹錫悦大統領が「送還について多くの国民が疑念を抱いている」と言及すると、国家情報院は「これまで自主調査を行ってきた」として元国家情報院長だったソ前室長を告発し、統一部は異例にも、軍事境界線を通じて北へと送還した当時の写真と動画を公開した。これを受け、大統領室は再び「反人道的、反人倫的犯罪行為」だとして、事実上捜査のガイドラインを提示した。

 検察は国家情報院の協力の下、関連資料を素早く確保した。ハン・ドンフン法務部長官は7月27日、国会の対政府質問で、「北朝鮮住民は憲法と法律の上では韓国の国民だ。本人が望んでいないにもかかわらず、北朝鮮に送還するほどの法的な根拠はない」とし、捜査を後押しした。

 尹大統領とハン長官まで乗り出して大々的に始めた捜査は、現在これと言った動きがみられない。法曹界では適用容疑などが誇張され、捜査を進めるのが困難なのではないかという疑問の声があがっている。北朝鮮で犯した犯罪を韓国で断罪できるのか、彼らの亡命の真摯さを認められるのかなど、複雑な法理的争点があるためだ。公安検事出身の弁護士は13日、「人道的な観点から北朝鮮への送還を批判できるかもしれないが、これを処罰する法規が特にないため、結局職権乱用の容疑を拡張せざるを得ない。南北関係を司法的判断に持ち込んだわけだが、捜査チームとしても目に見える成果を上げることが難しく、長考を重ねているのではないかと思う」と語った。

 法理だけではない。北朝鮮に送還された漁師2人が同僚16人を殺害したという点で、そもそも世論の支持を受けにくい捜査だった。ここに最近、北朝鮮の武力示威が続いたこともあり、「保守政権」の捜査放置につながったという指摘もある。検察出身の弁護士は「南北関係を司法の領域に持ち込むこと自体が負担になるうえ、世論の後押しがなければ捜査の動力が生まれない側面がある」と話した。

ソン・ヒョンス記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1071486.html韓国語原文入: 2022-12-14 16:56
訳H.J

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