気候危機の責任が最も大きい国はどこか。
2020年、世界で二酸化炭素(CO2)を最も多く排出した国は中国だ。排出量は106億6788万トンで、世界の排出量(348億725万トン)の30.6%を占めた。米国が47億1277万トンで2位(13.5%)、その後を欧州連合(EU、7.5%)、インド(7%)、ロシア(4.5%)、日本(3%)が続いた。世界の排出量のうち韓国が占める割合は1.7%で10位だった。炭素排出量を基準にみれば、気候変動に対する責任の重さは国ごとに異なり、その責任を問う順序は中国、米国、EU、インドとなりそうだ。米国が中国を相手に「気候変動に対し生ぬるい態度を取らず、積極的に乗り出さなければならない」と批判する理由だ。
ところが、中国の立場は異なる。気候変動への対応で最も重要なのは、先進国が開発途上国に気候変動への対応の財源を支援することだと反論する。産業化後から最近までのCO2累積排出量(1750~2020年)がその根拠だ。累積排出量を基準にみると、米国の累積排出量は4167億2308万トンで、世界の累積排出量(1兆6965億2417万トン)の24.6%を占めて1位だ。EUは2位(17.1%)、中国は3位(13.9%)となる。大陸別では、先進国が集まっている欧州(31.3%)と北アメリカ(28.2%)の累積排出量の割合を合わせると、世界の累積排出量の59.5%に達する。
2.8%排出のアフリカ、気候変動による最大の被害
一方、6日に開幕した第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)の開催国であるエジプトの属するアフリカは、2.8%に過ぎない。CO2の大気の滞在時間は100~300年。地球温暖化による気候変動において先進国の責任がより大きいということだ。開発途上国が、日照りや洪水、海水面上昇など気候変動により損失と被害を受けたことに対して「先進国が補償と支援財源を出さなければならない」と要求するのもそのためだ。今回のCOP27がエジプトで開かれるだけに、途上国、特にアフリカ諸国のこのような声が後押しされるものとみられる。
韓国の累積排出量は1.1%で18位。グリーンピースのチャン・ダウル専門委員は「韓国の累積排出量1.1%は、後順位の約120カ国の累積排出量を合わせたものより多い。韓国も国際社会で排出量に見合う責任を果たさなければならない」と述べた。
経済成長と炭素排出量増加が同時に現れる過程から抜け出し、経済は成長し続けても炭素排出量は減ることを「脱同調化現象」と呼ぶ。1990年以降30年にわたり、欧州や米国など先進国を中心に、ワニの口が開くような形で脱同調化現象が現れた。
2015年のパリ協定締結で到来した「新気候体制」では、先進国と開発途上国を問わず温室効果ガス削減義務が課された。開発途上国からは、自国の経済成長を先進国が妨げるという批判も出た。新気候体制では韓国を含めパリ協定を批准した国は全て「国家温室効果ガス削減目標」(NDC)を国連に提出し、これを実践し、履行点検を受けなければならない。韓国は経済成長率より炭素排出量の増加率が低い「弱い脱同調化」段階に入ったが、依然として経済規模に比べて炭素排出量が多い状況だ。
世界の所得上位10%の富裕層が48%の炭素を排出
気候変動は不平等だ。先進国と途上国の関係だけでなく、富裕層と貧困層の間でも同じく現れる。2019年、世界の所得・財産上位1%(約7千万人)は1人当たり年平均110トンのCO2を排出し、世界の炭素排出量の17%を占めた。上位10%(7億7100万人)は1人当たり年平均31トンのCO2を排出し、これは世界の炭素排出量の48%だ。裕福な少数の一部が世界の炭素排出量の半分ほどを排出したということだ。一方、下位50%(38億人)の1人当たりの年平均CO2排出量は1.6トン。彼らが排出した量は世界の炭素排出量の12%だった。国家間だけでなく富裕層と貧困層の間でも、気候危機を起こした責任と被害の不一致問題を解消するための「気候正義」が求められる。
人類が使える「炭素予算」は残りわずかだ。炭素予算はお金ではなく、上昇する地球の気温を特定温度以内に抑えるために許容される温室効果ガス排出総量を意味する。昨年1月1日現在、地球の温度上昇幅を産業化以前に比べ1.5度以内に抑制できる炭素予算は、4600億トン(目標達成確率50%)と3600億トン(目標達成確率66%)だ。2020年の排出量(348億725万トン)のままなら、今後10~13年で使い果たされる量だ。産業化以前に比べて2度以内に抑制するのを目標にする場合、炭素予算が多少増える。この場合、炭素予算はそれぞれ1兆3100億トン(目標達成確率50%)と1兆1100億トン(目標達成確率66%)。2020年の排出量のままなら人類が今後31~37年程度使用できる量だ。
しかし、2022年の地球の温度は産業化以前に比べてすでに1.1度上がっている。この程度の気温上昇だけでも、今年の地球は洪水、日照り、猛暑など異常気象で苦しんでいる。このようなことから、今回のCOP27では、人類が「気候正義」を実現し「炭素予算」を節約するための知恵を絞り出さねばならない。