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[梨泰院惨事]惨事の2時間半前、「機動隊急派」要請が黙殺されていた

登録:2022-11-04 03:11 修正:2022-11-04 09:21
現場への緊急出動要請も、龍山警察署 
「尹大統領退陣」集会規制を理由に拒否 
機動隊、夕食を終え9時30分に現場に到着
先月29日に圧死惨事が起きたソウル龍山区の梨泰院駅1番出口付近の路地。3日午前の様子/聯合ニュース

 梨泰院(イテウォン)惨事が発生する2時間30分前に現場を指揮していた警察官が龍山(ヨンサン)警察署に交通機動隊を送ってほしいと要請していたものの、龍山署は近隣の大統領室近くで行われていた「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領退陣を求めるろうそく集会」への対応を理由に応じていなかったことが明らかになった。集会管理が終わった機動隊は、夕食を終えてようやく夜9時30分に事故現場に投入された。

 3日の本紙の取材を総合すると、29日に梨泰院の現場で状況を管理していた龍山署所属の警察官は、午後7時34分ごろに交通課に交通機動隊(20人規模)の出動を緊急要請したが、龍山署は応じていなかった。この警察官は「夜7時過ぎに現場から交通課に機動隊を出動させてくれと伝えたが、2時間ほど過ぎた夜9時ごろに交通課から、集会が終わったので支援可能だという返事が来た」と明かした。

 現場から交通機動隊の出動を求める1時間ほど前の午後6時34分には、すでに最初の通報者が「人が押し合って圧死しそうだ。進入路で人数規制などの措置を取るべきだと思う」と訴えていたため、出動要請の時点ですでにかなりの人数が集まっていたが、龍山署が交通機動隊を派遣したのは集会終了後だった。

 惨事当日、事故現場から約2キロ離れた大統領室の近くの三角地(サムガクチ)駅では午後4時から進歩団体からなる「ろうそく勝利転換行動」が主管する「キム・ゴンヒ特検、尹錫悦退陣のための全国集中ろうそく大行進」が行われていた。

 交通機動隊は、最初の要請があった時点から約2時間が過ぎた夜9時30分ごろに現場に投入された。それまでに、すでに警察には圧死の危険性を警告する8件の通報があった。ただし交通課の関係者は「午後6時から7時の間に交通課の6人の職員を交通管理の目的で梨泰院の現場に派遣した」とし、「当時の交通状況について無線で報告を受けた時には、ひどい渋滞が発生している状況ではなかった」と説明した。

 先に警察が公開した龍山警察署の先月29日の梨泰院への警察力配置計画は、交通機動隊20人、交通警察は6人を投入したと述べているが、事実上機動隊が投入された時間(夜9時30分)には、車道と歩道を埋め尽くした車両と群衆で警察による規制がさらに難しくなっていた。

 交通課は、当時は交通機動隊が大統領執務室近くで集会管理業務にあたっていたため、直ちに現場に送ることが難しかったとの立場だ。実際に梨泰院の現場から交通機動隊出動を要請された時刻には、機動隊はソウル駅から大統領執務室のある三角地一帯へと行進していた集会参加者の規制に投入されていた。本来は混雑している状況での規制を担当する警備課および情報・交通課は、いずれも集会対応にあたっていた。

 龍山署交通課の関係者は「集会管理中の(機動隊の)勤務者を送ることはできなかった」とし、「交通機動隊の職員は夕食も食べられずに仕事をしていたため、(集会が終わって)食事を終えた後の夜9時30分までに梨泰院に現場に行くよう指示した」と明かした。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1065626.html韓国語原文入力:2022-11-03 16:21
訳D.K

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