本文に移動

初の韓国型戦闘機KF-21飛翔…「米国から怒号」受けた空軍の屈辱から11年(2)

登録:2022-07-22 11:41 修正:2022-08-22 07:20
政治BAR_クォン・ヒョクチョルの「見えない安保」 

戦闘機修理できない「タイガーアイ」の屈辱 
 
コストパフォーマンス低く時間もかかるが、国内で開発 
遅くて高くても国内主導で開発した戦闘機で 
独自プラットフォームの確保が自主国防の礎石
今月19日午後、KF-21試作機1号機が慶尚南道泗川にある空軍第3訓練飛行団の滑走路から離陸し、初の試験飛行を行っている=防衛事業庁提供//ハンギョレ新聞社

(1の続き)

-「タイガーアイ」事件の屈辱後も、国産戦闘機を開発する理由は。

 KF-21はレーダーに映らないステルス機能を備えた5世代戦闘機には及ばず、部分的にステルス機能を備えた4.5世代戦闘機だ。米国など航空先進国が第6世代戦闘機の開発に取り組み始めた状況を考えれば、韓国が今後30年間使用するには、KF-21は旧式の戦闘機という指摘もある。防衛事業庁もKF-21が世界最高水準の戦闘機ではないという点は認めている。

 しかも、KF-21は100%国内開発戦闘機ではない。KF-21全体の価格の15%ほどを占めるエンジンは、米国に本社を置くゼネラルエレクトリック(GE)の製品だ。KF-21の試作機の国産化率(部品基準)は65%だ。厳密に言えば、KF-21は「国内独自開発戦闘機」ではなく「国内主導開発戦闘機」だ。

 コストパフォーマンスが低く、作るのに時間もかかり、国産化率も期待より高くないのに、なぜあえて国産戦闘機を開発しようとするのか。戦闘機独自のプラットフォームを確保することが重要であるからだ。米国から購入した戦闘機は、故障したとき主要部品を自由に修理できず、米国の許可を受けなければならない。

 独自のプラットフォームの重要性を語る時、2011年の「タイガーアイ」事件がよく登場する。タイガーアイはF-15K戦闘機の胴体の下に装着されているセンサーで、夜や悪天候でも正確に爆撃できるようにする装備だ。2011年8月、米国防総省の非拡散担当首席副次官補など11人の調査団一行が韓国を訪問した。彼らは、韓国が米国から購入した戦闘機F-15Kのセンサーであるタイガーアイの無断分解疑惑を調査しに来た。米調査団は、韓国空軍の高官と空軍の整備場の関係者を呼び、刑事が犯人を取り調べるかのようにどやしつけた。当時、韓国空軍は「タイガーアイがあまりにも故障するので、異物が入っているかを確認するために整備した」と釈明したが、米国は大声を張り上げて机と壁を拳で叩くなど、韓国空軍関係者を追い詰めたという。

 当時米国は、表向きではタイガーアイの封印無断毀損を問題視したが、実は韓国がタイガーアイを分解した目的が当時開発中の韓国型戦闘機に適用する技術を流出させるためではないかと疑っていた。韓国が1970~80年代に米国産兵器を分解した後、そのまま真似て逆設計したように、今回もそうしたのではないかという疑いだった。タイガーアイの封印毀損問題は「兵器は売っても技術は売らない」という米国の兵器輸出原則によるものだ。米国が韓国に対しこのような原則に固執するのは、韓国型戦闘機が量産されれば韓国に売る米戦闘機の規模が減るためだ。

 米国は戦闘機を売った後、部品と性能のアップグレードを通じて稼ぐ。30年ほど使用する戦闘機の総運用費のうち、最初の導入費は30%で、メンテナンス費用が70%を占める。国内整備が制限されるため、部品費と修理費は米国の言い値に従う。米国は戦闘機を売った後、部品価格を上げ続ける。米国は2014年にタイガーを初めて導入した時より、部品価格を平均6倍引き上げを要求した。

 部品と修理問題は「法外な価格」だけでなく、空軍の戦闘力にも大きな支障をきたす。戦闘機の主要な部品が米国から届いて修理するのに6カ月から1年以上かかる時もある。この場合、高価な戦闘機が任務を遂行することもできない。空軍の主力機であるF-15KとF-16は、修理部品の不足による任務遂行の制約が深刻だ。空軍が保有しているF-15KとF-16は約200機ほどだが、最近5年間で、F-15Kは修理付属の不足により飛行不可が発生した件数は535件、修理付属の不足により特定任務不可が発生した件数は79件だと、共に民主党のアン・ギュベク議員室が昨年明らかにしている。同期間、F-16は修理付属の不足による飛行不可は548件、修理付属不足による特定任務不可は1202件発生した。F-15Kの場合、一度の任務不可状態で平均16日間任務を遂行できず、F-16は平均92日間任務を遂行できなかった。

今月19日午後、KF-21試作機1号機が慶尚南道泗川にある空軍第3訓練飛行団の滑走路から離陸し、初の試験飛行を行っている=防衛事業庁提供//ハンギョレ新聞社

-韓米同盟を強調した尹大統領が試験飛行の成功を「自主国防に向けての快挙」と言った理由は。

 修理より大きな問題は、戦闘機の武装システムのアップグレードで生じる。国産ミサイルなどを開発し、戦闘機に取り付けて試そうとしても、米国の許可を得なければならない。米国が許可しなければ、ミサイルなど先端兵器システムの開発が滞る。いくら最新戦闘機だとしても、ミサイルなどの兵器を装着して先端電子装備とネットワークを構成しなければ、空に浮かぶ鉄の塊にすぎない。米国から購入した戦闘機に国産ミサイルなどを取り付けてテストするには、米国の許可を得なければならない。最新の航空電子装備が入った戦闘機は、ソフトウェアのアップデートを適時行わなければ性能を発揮できない。

 このような問題は、戦闘機を国内で開発し、独自のプラットフォームを確保すれば解決される。昨年4月9日の韓国型戦闘機試作機の出庫式で、文在寅大統領は「国産戦闘機が持つ長所は言い尽くせない。我々が必要な時点でいつでも製作し、実戦に投入できる。いつでも部品を交換でき修理できる。開発過程で獲得したAESAレーダーをはじめとする最先端の抗戦技術を『KF-16』や『F-15K』のような既存の戦闘機に適用してアップグレードすることもできる」と述べた。韓米同盟を強調して自主国防を取り上げなかった尹錫悦大統領も、19日のKF-21の初試験飛行の成功から6時間後、「自主国防に向けての快挙」と明らかにした。それだけ独自プラットフォームの確保が重要だからだ。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/1051953.html韓国語原文入力:2022-07-22 07:15
訳C.M

関連記事