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青瓦台を「韓国のベルサイユ」に?…「美術館+野外公演場」建設計画

登録:2022-07-22 07:04 修正:2022-07-22 10:01
文体部、青瓦台活用の青写真を発表
5月23日午前、青瓦台迎賓館を訪れた観覧客が記念写真を撮っている。文化財庁は同日、国賓の晩餐会場などに使われてきた青瓦台の迎賓館と歴代大統領のマスコミ会見場所に担当記者たちが常駐していた春秋館の内部を整備し、市民たちに公開した=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 「『韓国のベルサイユ』にするというのがパク・ポギュン長官の構想です」

 大統領が去ったソウル世宗路(セジョンノ)の青瓦台(チョンワデ)を高級美術館と常設公演場に変える未来の青写真を、文化体育観光部(文体部)が発表した。まず、青瓦台本館など主な建物にハイレベルな展示を標榜した美術館と民間貸館ギャラリーが建設される。庭は彫刻公園と野外公演場として活用される。

 パク・ポギュン文体部長官は21日午前、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に、青瓦台の活用に関し総合的な青写真プロジェクトを骨子とする新政府業務計画を報告した。17世紀フランスのブルボン王朝の太陽王ルイ14世が、パリ南部郊外に巨大な人工庭園とともにバロック文化の精髄で造成したベルサイユ宮殿の仕組みをモデルにし、青瓦台を自然遺産と芸術が調和を成した空間にするという内容だ。

パク・ボギュン文体部長官が今月20日、政府ソウル庁舎別館で、青瓦台活用の青写真に対する大統領業務報告に関する事前ブリーフィングをしている=ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 「息づく青瓦台」を旗印に掲げた青瓦台活用の青写真の核心は「アートコンプレックス(文化芸術団地)」だ。まず、青瓦台の顔である本館と官邸は原型を保存して管理しながらも、美術品の常設展示場として再構成する。本館1階ロビーと世宗室、忠武室、仁王室を展示空間として活用する一方(2階の執務室や会議室は原型を維持)、これらに合わせて作られた作品は本来の場所にそのまま展示する。官邸も居間と別館のダイニングを中心に美術品を設置し、本館前の大庭園は開放1周年など、重要な機会に国楽やクラシック、大衆音楽など多様な分野の総合公演芸術の舞台に活用するという計画だ。1993年に撤去された旧本館(朝鮮総督官邸)の跡地には模型の復元も進める。パク長官は20日、大統領業務報告の前日に開かれた業務計画関連の記者懇談会で、「本館と官邸、本館跡地は歴代大統領の人生はもちろん、重要な決定を下した権力の瞬間を実感できるストーリーテリングの空間にするつもり」だとし、「朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の息子のパク・ジマン氏や、キム・ヨンサム大統領の息子のキム・ヒョンチョル氏など、歴代大統領の一部の家族と大統領学専門家などで諮問委員を構成した」と述べた。

5月22日夜、青瓦台本館の大庭園で、青瓦台開放を記念するKBSの「開かれた音楽会」が開かれている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 青瓦台圏域の南西にある迎賓館は「プレミアム」を強調したハイレベルな近現代美術品の展示場として再構成する。文体部関係者は「迎賓館は東西洋要素が混合されたポストモダニズム様式の建築物で、内部ホールは496平方メートルの広さに天井の高さも10メートルで、ハイレベルな展示に適した空間」だとし、「青瓦台所蔵品の企画展をはじめ、昨年国に寄贈されたイ・ゴンヒ・コレクションなど国内外の最高作品を誘致し、展示する予定」と明らかにした。これと関連して文体部は、10月に迎賓館で青瓦台所蔵美術品コレクション609点のうち、ホ・ベクリョン、チャン・ウソン、キム・ギチャン、ソ・セオク、パク・デソンなど韓国画大家の作品30点余りを選、初のコレクション公開展示を開く案を進めており、図録とストーリーテリング作業も最高の民間専門家たちと共に行っていると伝えた。

文化体育観光部のパク・ボギュン長官が今月20日、政府ソウル庁舎別館で青瓦台活用青写真に対する大統領業務報告の事前ブリーフィングをしている=ノ・ヒョンソク記者//ハンギョレ新聞社

 青瓦台圏域の南東側にあるマスコミ専用空間の春秋館は、市民疎通空間に生まれ変わる。2階のブリーフィング室は民間に貸館する特別展示空間として活用することにした。初の展示行事として障害者文化芸術祭(Aプラスフェスティバル)を8~9月に開く予定だと文化体育観光部は発表した。歴代大統領の足跡や600点を超える美術品、約5万本の樹木、枕流閣、呉雲亭といった文化財など、青瓦台の持つ最高のコンテンツを内部の建築物や野外空間と結合し、大韓民国最高の象徴資本としてブランド化するという趣旨だ。文体部関係者は「青瓦台の文化芸術空間の青写真は、パク・ポギュン長官が自然遺産と文化遺産が調和したフランスのべルサイユ宮殿から着想し、実務者たちと共に構想したもの」だと説明した。

尹錫悦大統領が今月21日、龍山の大統領室庁舎の執務室で、パク・ボギュン文体部長官から業務報告を受けている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦大統領は同日、龍山(ヨンサン)の執務室で、これらの内容を骨子としたパク長官の業務報告について「本館や迎賓館など青瓦台を国民のための複合文化空間とするとともに、青瓦台の従来の所蔵品だけでなく、国内の良い作品を多く展示して国民が気軽に鑑賞できるようにしてほしい」と指示した。尹大統領はまた「文体部傘下機関が障害者の作家と新進作家を積極的に発掘し、優先的に作品を購入するようにしてほしい」と注文し、彼らの展示、公演スペースの確保を呼びかけたと、イ・ジェミョン大統領室副報道官が伝えた。さらに、国に寄贈されたイ・ゴンヒ・コレクションなど国内外の最高作品の誘致や展示計画については「地方巡回展示を活性化して全ての地域がバランスよく文化を享受する機会を保障するために努力してほしいと」と付け加えた。

 文体部が青瓦台庁舎に関する構想を発表したことを受け、文化財界は青瓦台の歴史性を無視した一方的な政策だと懸念を示した。国の文化財政策を審議・決定する文化財委員会のある関係者は「高麗時代の南京別宮と19世紀に再建された景福宮(キョンボックン)の後苑のような青瓦台圏域の歴史的特殊性を全く考慮していない」とし、「歴史空間の保存のための基礎調査過程を経た後、熟考して発表すべき活用案を、このような過程を飛ばして打ち出したのは極めて矛盾している」と指摘した。チョン・ヨンウ文化財委員長は「青瓦台圏域の活用だけを強調した文化体育観光部案がそのまま推進されるのを黙って見ているわけにはいかない」とし、「分科委員長や委員らと現在の状況について話し合っている」と語った。チョン委員長は「青瓦台が大切な文化遺産だと強調した尹錫悦大統領が、文体部の案をそのまま受け入れるとは思わない」と付け加えた。文化財界の一部では、文化財委員会が連帯声明など集団行動に乗り出す可能性があるとみている。青瓦台圏域の臨時管理責任を担っている文化財庁は、上部機関である文体部の案に対して、公式反応を一切示さなかった。文化財庁は先月、青瓦台を含む景福宮後苑の各種施設や景観、文化遺産などを把握し、保存・管理および活用方案の基本根拠を得るための「基礎調査研究」を依頼し、韓国建築歴史学会と契約を控えている状況だ。観覧客の出入りを統制せざるを得ない調査を本格的に始めた場合、文体部の美術館彫刻公園計画案と摩擦を起こす可能性もある。

ノ・ヒョンソク、ペ・ジヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/1051822.html韓国語原文入力:2022-07-22 02:47
訳H.J

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