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「強制動員の代位弁済…被害者の同意なしには不可能」

登録:2022-07-18 10:03 修正:2023-03-06 07:44
「政府が代わりに弁済するには被害者の同意が必要」 
被害者側、「謝罪・賠償に加害企業が参加すべき」 
韓日外相会談…日本の態度変化に関心
パク・チン外交部長官(右)が今年5月、尹錫悦大統領の就任式に合わせてソウルを訪れた日本の林芳正外相とひじを突き合わせて挨拶している=外交部提供//ハンギョレ新聞社

 日帝強占期(日本の植民地時代)の強制動員被害者賠償問題の解決に向けて、韓国政府が秤にかけてきたいわゆる「代位弁済」方式も、被害者側の同意なしには不可能だという法律解釈が出た。被害者側は加害戦犯企業の謝罪と賠償への参加を最小限の条件として掲げており、18日に日本を訪問するパク・チン外交部長官が日本側の態度変化を引き出すことができるかに関心が集まっている。

 強制動員被害者賠償問題の解決策を設けるための官民協議会参加者の17日までの話を総合すると、14日に開かれた協議会第2回会議では、大きく分けて3つの問題が集中議論された。まず、被害者側の代理人団が要求した「被害者と被告企業間の直接交渉」のために韓国政府が「外交的保護権」を発動してほしいという問題だ。「外交的保護権」とは、自国民が外国で違法・不当な待遇を受けた場合、当該国の政府が外交手続き等を通じて外国政府を相手に自国民に対する適切な保護または救済を要求できる国際法上の権利だ。

 2018年10月、韓国最高裁(大法院)は強制動員被害者に対する日本企業の違法行為と賠償責任を認める判決を下し、「外交的保護権」も生きていると判示した。だが、最高裁判決直後、日本政府側は「国際法違反」だとし、加害戦犯企業の賠償判決履行を事実上阻止した。最高裁判決以前と同じように、その後も日本政府側の「違法・不当な待遇」が原因で被害者の「権利」が侵害されているということだ。

 これと関連し、外交部当局者は会議直後、記者団に対して「国際法的な『外交的保護権』は、日本の私企業が行った行為ではなく、政府が違法行為をした場合、様々な要件に沿って韓国政府が外交的保護権を(行使)するという意味」と述べた。日本政府が加害企業に直接的に圧力を行使したかどうかを明らかにせず、三菱など加害企業が賠償判決を履行していないという点だけを強調したわけだ。被害者側の代理人であるイム・ジェソン弁護士は「政府から直接交渉案に対する外交的経過の説明を受けたが、機密事案であるため公開できない」とし、「持続的に外交的な努力してほしいという外交的保護権を再度要請した」と話した。

 二つ目に、最高裁の賠償判決履行のための財源調達案も議論された。外交部は第2回協議会で、すでに報道されたいわゆる「代位弁済」方式に対する法律的検討の結果を説明したという。「代位弁済」とは、日本企業が払わなければならない賠償金を韓国政府が被害者側に代わりに支払い、その後日本側に請求する方式だ。これに先立ち、協議会発足前後に一部メディアは、日本企業と韓日請求権協定の恩恵を受けた韓国企業が参加する基金を造成する代位弁済方式を政府が考慮していると報じた。

 しかし、協議会では政府がどんな方式であれ代位弁済を推進しても、被害者側の同意を得なければならないという法律解釈が出てきたと伝えられた。実際、民法第453条と第454条は「第三者は債権者との契約で債務を引き受け、債務者の債務を免除することができる」として「第三者が債務者との契約で債務を引き受けた場合には、債権者の承諾によりその効力が生じる」と規定している。最高裁の判決によって賠償責任(債務)を負った戦犯企業に代わり、韓国政府がいかなる形であれ賠償をするには、債権者(被害者)の承諾を得なければならないという意味だ。

 外交部当局者は「(2回目の協議会で)代位弁済に関する議論があり、法律検討を経て債務を誰かが代わりに弁済するには、債権者の同意が必ず必要だという分析が出た」とし、「いわゆる『ムン・ヒサン案』を特別法の形で推進したことも被害者側の同意が必要である点を裏付けているという指摘があった」と伝えた。

 「ムン・ヒサン案」は、2019年11月、当時国会議長だったムン・ヒサン氏が、日本企業の賠償責任を韓日企業と国民の自発的寄付、2015年の韓日政府間合意で作られた後解散した「和解・癒やし財団」に日本が拠出した基金の残額60億ウォンで代わりに負担しようという案だ。この財源で被害者に「慰謝料」が支払われた場合、日本企業の賠償責任が「代位弁済」されるとみなし、「裁判上和解」が成立する方式で問題を解決する案だったが、被害者側の反発で実現しなかった。

強制動員被害者訴訟代理人であるイム・ジェソン弁護士が今月14日午後、官民協議会第2回会議を終えた後、ソウル鍾路区政府ソウル庁舎別館前で記者会見をしている/聯合ニュース

 結局、解決の核心は加害者である日本政府と戦犯企業の謝罪にある。第2回協議会でも、謝罪の主体と時期、方法について多様な意見が交わされたのもこのためだ。これと関連して、三菱重工業勤労挺身隊強制動員被害者として最高裁賠償判決を引き出したヤン・クムドクさん、キム・ソンジュさん側の支援団体と訴訟代理人団は14日、「加害者である三菱側の率直な謝罪と賠償以外に、他の解決方法はないということをもう一度確認する」として、協議会に参加しないと宣言した。

 イム弁護士は「代位弁済は結局、基金をどのように作るかの問題」だとし、「被害者側は、妥協案が必要ならば、その基金を作るのに被告企業の参加が不可欠であり、また(日本政府が拒否すれば)加害企業だけでも必ず謝罪すべきという立場を政府に伝えた」と話した。

 最高裁の賠償判決後、日本政府は「徴用工(強制動員)問題は1965年の韓日請求権協定で解決が終わった。韓国最高裁判決は国際法違反だ」として、これに関する対話自体を拒否してきた。また、「韓国が解決策を講じなければならない」とし、「(戦犯企業の資産)現金化は韓日関係の破綻を意味する」と脅した。このため、発足直後から韓日関係の改善に集中してきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の努力も、18日に約4年7カ月ぶりに開かれる韓日外相会談で、日本側がどのように対応するかにかかっているという指摘が出ている。

チョン・インファン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1051314.html韓国語原文入力:2022-07-18 09:05
訳C.M

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