国民の力のイ・ジュンソク代表の政治的運命を分ける7日の党中央倫理委員会(イ・ヤンヒ委員長、以下倫理委)の懲戒審議が迫っている。与党代表が党内部の倫理的審判台に立たされるのは、憲政史上初めてのことだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権初期の与党内の権力闘争という性格も濃厚な「イ・ジュンソク懲戒」は、懲戒の可否と重さがどのようになったとしても後遺症が伴うと見られる。
倫理委は7日午後7時に第4回会議を開き、イ代表の「性的接待証拠隠滅疑惑に関する品位維持義務違反」の件を審議・議決する予定だ。イ代表はその日の倫理委に出席し、自らの容疑について釈明することになる。
倫理委が決定できる懲戒は、軽い方から順に警告▽党員権停止▽離党勧告▽除名だ。党員権停止以上の懲戒が確定すれば、イ代表は11カ月残っている代表の座が維持できない。しかし、最も軽い「警告」決定が下されたとしても、尹錫悦派を中心としたイ代表辞任要求へとつながる可能性が高い。
尹派のある関係者は3日、本紙に対し「イ代表に対する不満は何かの派閥闘争から始まったものでもなく、倫理委という党内の公的機関の決定を契機として出てくるものだ。誰も異議を申し立てられない」、「性的接待疑惑が初めて出てきた昨年12月にも『民主党から実体的証拠や何かが出てくる可能性があるから、その前にイ・ジュンソクを辞任させるべきだ』という意見があったが、選挙を控えていたからできなかった。懲戒決定が出ればイ代表に対する拒否の声が集団的にあがってくる可能性がある」と語った。
倫理委が懲戒しないことを決めれば、イ代表は辞任の圧力から逃れ一息つけるが、尹派との対立の火種は残る。イ代表は大統領予備選挙の過程から、いわゆる「尹核関(尹錫悦側の核心関係者)」議員たちと摩擦を起こしており、最近は尹大統領とイ代表の架け橋の役割を果たしていたパク・ソンミン党代表秘書室長が辞任したことで、尹大統領の関心がイ代表から離れているという分析が示されている状況だ。
倫理委の懲戒審議を通じてイ代表が辞任する状況が生じた場合は、与党の政治的負担と不安定性がもう一つの課題となる。イ代表が辞任すれば、尹派は党の主導権を掌握して一糸乱れぬ「尹錫悦体制」を構築できるが、同時に尹派と異なる声をあげられる政治勢力が除去され、「独走」を牽制する勢力がいなくなる。イ代表体制で党の「新たな友軍」として編入された20~30代の男性支持層が離脱することもありうる。
イ代表の「決死の抗戦態勢」も変数として作用しうる。イ代表は先月12日の就任1周年の記者懇談会で「本当に私のように世論扇動のうまい人間がダークサイドに落ちたらどうなるのか、期待しても良い」と脅している。「(倫理委の)警告も受け入れがたい」と述べたイ代表は、懲戒が決定されれば効力停止仮処分申立てを含む大々的な反撃に打って出る構えだ。裁判所は通常、政党内部の政治的決定を尊重するが、イ代表は世論に潔白を訴え、「政治的スケープゴート」のフレームを強調する可能性が高い。物価上昇による国民生活の危機の中で、与党内部の権力闘争は民意離れを招きうる危険要素だ。
イ代表と対立関係にある尹派は「イ・ジュンソク・リスク」の長期化を懸念している。尹派に分類されるある初当選議員は「イ代表が1年間あげ続けていた不安な声と行動が、今回の倫理委への回付で頂点に達したと思う。今は政権与党として様々な国民生活の問題を解決することが急がれる状況なので、不安な党代表の状況をできるだけ早く終え、懸案に集中するのが正しい」と語った。