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「出勤時の囲み取材」を誇る尹大統領、性暴力疑惑の側近については答えない理由は 

登録:2022-06-11 06:20 修正:2022-06-11 07:33
[ハンギョレS]来週の質問
尹錫悦大統領が今月9日、ソウル龍山の大統領室庁舎に出勤し、取材陣の質問に答えている=大統領室写記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が発足して1カ月。担当記者が感じる最も大きな変化は大統領の「出勤時の囲み取材」だった。

 大統領室は9日午後、「尹錫悦大統領就任1カ月、新しい10の変化」という報道参考資料を出し、「龍山(ヨンサン)時代の変化した風景」について説明した。第一は龍山時代の開幕、第二は出勤する大統領の常時のドアステッピング(囲み取材)を挙げた。大統領室は「ドアステッピング」について「出勤する姿を国民が毎日目撃し、出勤途中の国民の疑問に随時に答える最初の大統領」だと評価し、「歴代大統領と比較できない意思疎通の形と回数を通じて『参謀の後ろに隠れない』という約束を実践」したと意味付けした。記者団はこの1カ月、週末と外部日程などを除いて13回、出勤する尹大統領の顔を見て質問した。最も多く登場した質問は次のようなものだった。「△△△を任命しますか?」

 就任3日目の先月12日、臨時国務会議の主宰を控えた尹大統領に記者団は「聴聞報告書が採択されていない長官を任命する計画があるのか」と尋ねた。尹大統領は「一部だけ」だと答えた後、その場を離れた。数時間後、野党の反対を押し切って国会の人事聴聞報告書が採択されなかった長官候補2人(パク・チン外交部長官、イ・サンミン行政安全部長官)を任命し、臨時国務会議の定足数を満たした。その後、記者団の質問は、ハン・ドンフン法務部長官とチョン・ホヨン保健福祉部長官候補に集中した。特に「子どもの医大編入特恵疑惑」が持ち上がったチョン候補に対する質問は13回のドアステッピング中4回も登場した。そのたびに尹大統領は「検討してみる」(5月17日)と短く答えたり、回答を回避(5月19・20日)したりした。尹大統領が「時間が必要だ」(5月23日)と答えた日の夜、チョン候補が自ら辞退し、その名前は記者団の質問から消えた。

 主要人選の輪郭が現れてからは「検察出身」の人選に対する質問が続いた。記者団は「政府の要職を検察出身が独占しているという批判があるが、どう思うか」(6月7日)、「検察出身の人事が繰り返され、大統領の人材プールが狭いという指摘がある」(6月8日)、「検察出身の人物をこれ以上任命しないと言ったことがあるか」(6月9日)と尋ねた。尹大統領はそのたびに「適材適所に有能な人物を使うことが人事の原則」「専門家であり適任者を起用した」などと反論したが、批判の声が高まった。

 質問を聞き流したこともあった。先月17日、記者団は性暴力疑惑が持ち上がったユン・ジェスン総務秘書官に対して「与党からも懸念の声が上がっているが、どう判断しているのか」という質問に、尹大統領は「他の質問はないですね?良い一日を過ごしてください」という言葉を残し、執務室に上がるエレベーターに乗り込んだ。8日には飲酒運転の前歴が明らかになったパク・スネ教育部長官候補に対する任命計画の質問に答えず、その場を離れた。

 記者団が何度も「誰を抜擢するのか」を尋ねる理由は何だろうか。どのような国を作るかは、どのような人物と共にそれを進めるのかをもとに推察できる。「人事はすなわちメッセージだ」という言葉があるのも、そのためだ。検察出身の最側近の起用や、問題のある人物の度重なる任命は、尹大統領のいう「有能さ」と「公正性」の基準に疑問を抱かせる。だからこそ聞くのだ。来週も記者団はこの質問を投げかけることになるだろうか。「△△△を任命しますか?」

キム・ミナ|政治チーム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1046559.html韓国語原文入力:2022-06-1020:39
訳H.J

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