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韓国大統領夫人の履歴詐称問題、いつまで続くのか

登録:2022-05-14 01:41 修正:2022-09-17 08:39
[ハンギョレS]来週の質問
尹錫悦大統領の配偶者キム・ゴンヒ女史が10日、国会で行われた第20代大統領就任式で拍手している=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の配偶者キム・ゴンヒ女史の「履歴詐称」問題は現在進行形だ。1月25日の教育部による国民大学に対する特定監査の結果の発表で一段落するかにみえたが、先月25日、国民大学が教育部による監査内容および処分を不服として行政審判を請求していたことが4日に確認されたことで、新たな局面に入った。

 実際に、教育部による監査の内容に目新しいものはなかった。キム女史自らが昨年12月26日の国民に対する謝罪記者会見で「よく見せようと思って経歴を膨らませ、誤りを書いたこともあった」と認めているからだ。教育部もやはり「監査の過程で、2014学年度1学期の国民大学兼任教授志願書に記載されたキム氏の学歴と経歴が、事実と異なることを確認した」と明らかにしている。具体的には、キム女史は経歴に韓国ポリテク1大学江西キャンパス「非常勤講師/産学兼任教員」を「副教授(兼任)」と記載し、学歴には「ソウル大学経営専門大学院経営専門修士」を「ソウル大学経営学科修士」と記載していたことが確認された。

 これについて教育部は、国民大学に対してキム女史の志願書の学歴と経歴を再検証し、任用取り消しなどの規定に合致する措置を取るよう求めた。国民大学の「非専任教員の任用に関する規定」第18条は「非専任教員の任用時に陳述した内容および提出した書類に虚偽が発見された時は、発令日をもって任用を取り消す」と定めているからだ。

 通常、教育部の監査結果が通知されれば、大学はまず再審議を申請し、ここで異議が棄却されれば行政審判または行政訴訟へと移る。しかし、国民大学の対応は異なった。通知日から1カ月以内に再審議申請が可能だったにもかかわらず、行っていないのだ。動きのなかった国民大学は、尹錫悦政権発足を半月後に控えて「事実関係を誤認した、根拠のない不当な指摘」との理由をあげて行政審判を請求した。

 政界からは、行政審判請求は「キム女史の経歴を死守する、ご機嫌取りのためのもの」(共に民主党のカン・ミンジョン議員)との批判が出ている。結論がいつ出るか予想することも難しい。過去に他大学が教育部による監査処分を不服として請求した行政審判の事例を見ると、結果が出るまでに7~8カ月かかっている。しかし国民大学が行政審判で敗れたとしても、同大がこれを不服として行政訴訟を提起する可能性も排除できない。

 逆説的にもキム女史の履歴詐称問題は、制度改善を引き出したという大きな「功」がある。教育部は先月「大学講師制度運用マニュアル」を改正し、今後大学が非専任教員を選ぶ際には、審査前の段階または基礎審査で出願書類と証明資料が一致した場合にのみ本審査を行い、最終任用前に証明資料が本物かどうかを確認させるようにした。また4日に教育部が立法を予告した教育公務員任用令改正案は、大学が専任教員を選ぶ際に基礎審査段階で学歴と経歴が提出書類と一致するかを確認するよう明確に規定している。さらに教育部は、高等教育法を改正し、履歴詐称が確認されれば、専任教員だけでなく非専任教員についても教育部が直に大学に免職を要求できるようにする計画だ。

 このように「キム・ゴンヒ防止法」が相次いで推進される中で、肝心のキム女史に対する処分が延期され続けたとすれば、納得する国民が果たしてどれだけいるだろうか。「振り返ってみれば大変恥ずかしいこと」、「夫が大統領になっても妻の役割のみに忠実であろうと思う」と述べたキム女史の謝罪が本気だったのかも疑わざるを得ない。尹錫悦政権の国政運営の原則である「公正」と「常識」に合致する結論を待つ。

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/1042806.html韓国語原文入力:2022-05-13 19:15
訳D.K

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