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「職員の40%が感染した病院も…診療や手術は中止、韓国の医療現場は麻痺状態」

登録:2022-03-24 02:55 修正:2022-03-24 08:10
保健医療労組「医療システム崩壊防止策、医療人材保護対策を樹立すべき」
23日午前11時、全国保健医療産業労働組合が大統領職引き継ぎ委員会のオフィスのそばで記者会見を行っている=ソ・ヘミ記者//ハンギョレ新聞社

 今月1日から22日までの1日平均の新型コロナウイルス感染確認数は約30万人に達しており、医療スタッフからは「現場は修羅場で阿鼻叫喚」との声があがっている。入院患者が増えるとともに医療スタッフの感染が相次ぎ、医療システムは事実上崩壊しつつあるというのだ。

 全国保健医療産業労働組合(保健医療労組)は23日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の大統領職引き継ぎ委員会のオフィスが置かれている金融監督院研修院のそばで記者会見を行い、医療システムの崩壊を防ぐための非常対策を求めた。また感染症対応システムの構築と、公共医療・保健医療人材の拡充などを内容とする昨年の9・2労政合意の履行を求めた。

 保健医療労組は、今月21~22日に医療機関で感染が確認され隔離中の医療機関の職員は、全職員の5~6%ほどを占めると把握している。累計の隔離者は全職員の20~30%に達すると推定している。保健医療労組は「全体の40%に当たる400人あまりの職員の感染が確認された病院もある」と明かした。ある上級総合病院は、1日平均で22%ほどの手術をキャンセルまたは縮小。病室の運用を60~70%程度にまで縮小したりした病院もある。原州(ウォンジュ)延世医療院支部のイ・チョルジョン政策局長は「ある病棟では31人いる職員のうち14人の感染が確認され、またある病棟では患者の保護者を含め17人が集団感染した。毎日20~30人の医療スタッフが新たに陽性判定を受けており、1週間の累計感染確認数が170人に達したこともあった」と話した。

 現場の保健医療労働者たちは、政府の「病床稼働率」と患者を治療する実際の現場は異なると指摘した。政府は連日、重症患者と準重症患者の病床稼働率を60%台だと説明している。病床数は余裕があるように見えても、病床を運用する実際の人員はそれより少ないため、政府発表は現実を反映していないというわけだ。

 感染症専門病院である釜山(プサン)医療院は現在、300床あまりの病床に1日平均で170人から200人ほどのコロナ感染者が入院している。しかし感染する医療スタッフが多く、過負荷がかかっている。放射線技師でもあるチョン・ジファン釜山医療院支部長は「コロナ病棟の入院患者の60~70%以上が精神疾患、認知症、療養、床ずれ、寝たきり患者か、酸素吸入や透析を必要とする重症度の非常に高い患者」だとし「見るべき重症患者は多いが、人手が足りないため今は食事もできず、勤務時間内に食事するとさえ申し出ない看護師がほとんど」と語った。

 保健医療労働者たちは、人員を拡充するのではなく感染した医療スタッフの隔離期間を短縮した政府の指針を批判した。忠南大学病院支部のイム・ベクラン支部長は「ワクチン休暇も私たちにとっては夢。誰にも理解してもらえずワクチン接種を済ませて耐えてきたのに、防疫システムの崩壊を防ぐため、我々には5日だけ隔離されろと言う」と述べた。現在、一般人の隔離期間は7日だが、防疫当局は先月、事業継続計画(BCP)指針を改正し、医療スタッフの隔離期間を3~5日に短縮している。看護師でもあるペ・ナヨン江東慶煕大学病院支部長は「医療スタッフが不足しているため、感染が確認されたとしても3日隔離されるだけで患者を診ろと言われているが、看護師は機械ではなく同じ人間だ」と話した。

ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1035944.html韓国語原文入力:2022-03-23 15:13
訳D.K

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