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パニック障害に苦しむ韓国の10代20代…「余裕のない暮らしがつらい」

登録:2022-02-15 03:09 修正:2022-02-15 07:35
2020年には対前年比で10代が17.9%、20代が16.5%増 
平均増加率の7.5%を大きく上回る…「ソーシャル・ディスタンシングが悪影響」
ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 「就職、結婚、恋愛、マイホーム購入など、20代にかかる様々な圧力が将来をさらに不透明にし、日々をつらくするんです」

 インスタグラムで「ブルームーン絵日記」を運営している20代のAさんは、新型コロナウイルス禍で人との出会いが断たれたうえ、就職準備などから来るストレスによってパニック障害の症状がひどくなったと語った。Aさんのようにコロナによる就職難や学業から受ける圧力からパニック障害を訴える10代20代が増えている。

 14日に健康保険審査評価院の国民関心疾病統計を確認すると、10代のパニック障害患者の数は2019年の4363人から2020年には5143人へと約17.9%、20代は2019年の2万5067人から2万9200人へと約16.5%増加している。これは全年齢層の平均増加率(約7.5%)の2倍を超えている。

 10~20代のパニック障害が増えているのは、コロナ禍により入試や就職などで以前よりも圧迫を受けている中で、ストレス解消の方法もないためだとの分析が出ている。

 高校時代からパニック障害で苦しんでいたというアン・テウさん(23)は、「パニックはストレスを感じるとひどくなるが、コロナによって人との出会いがほぼ断たれているため、余計に悪化しつつある」と話した。Aさんも「子どものころから不安に弱い性格ではあったが、就職活動をする中で感じるプレッシャーなど、20代に加わる様々な圧力がパニック障害に火をつける」と述べた

 慶熙大学病院精神健康医学科のペク・チョンウ教授は「パニック障害の症状で訪ねてくる10代、20代の話を聞くと、概ね就職と将来に対する不安を訴えており、コロナのせいでストレスを解消する方法がなくてイライラすると話す。実際に、コロナによる社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)は、他の年代に比べて青年層にいっそう大きな心理的悪影響を及ぼすというのは世界的な傾向だ」と述べた。檀国大学心理治療学科のイム・ミョンホ教授も、「真面目に生きていても将来はよくなると楽観できないから、そのストレスがパニックにつながっている」と語った。

 専門家は、10代20代の周辺に相談センターなどを設置してパニック障害を見つけやすくするとともに、治療を受けられるようにすることが必要だと話す。イム・ミョンホ教授は「ますます生活に余裕がなくなってきている青年層のための福祉支援だけでなく、高校や大学内の相談センターを拡充し、気軽に心理相談できるシステムを構築するなど、医療上の支援も並行すべきだ」と述べた。

 パニック障害が疑われる場合は早めに病院に行くとともに、周囲の人と自分の感情を分かち合う必要があるとの助言もある。ペク教授は「パニック障害は初期に治療すれば完治率が非常に高いだけに、一人で悩まずに早めに専門家を訪ね、診断を受けることが重要だ」と述べた。ソウル大学病院精神健康医学科のチェ・スヒ教授は「SNSなどで自分の症状や感じていることを共有することで感情や考えを整理すれば、パニック障害の症状を調節するのに役立つ」と話した。

コ・ビョンチャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1031062.html韓国語原文入力:2022-02-14 17:59
訳D.K

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