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[ニュース分析]トンガの火山噴火…科学者ら「今世紀中に大規模噴火の可能性も」

登録:2022-01-17 06:19 修正:2022-01-17 07:21
米日、トンガの海底火山噴火で津波警報 
IPCC第6次報告書「今世紀に大規模火山噴火の可能性も」警告 
1世紀に一度の割合の大規模噴火で気候にも影響 
1991年、ピナツボ火山の噴火で寒冷期が来たが 
温暖化傾向続く「白頭山も噴火の可能性あり」
インドネシアのジャワ島中部のムラピ火山が昨年12月29日(現地時間)に噴火し、火山灰と煙を吐き出している。高さ2930メートルのムラピ火山はインドネシアの120の活火山の中で火山活動が最も活発である。2010年10月にはこの火山が噴火し、住民約350人が死亡した/聯合ニュース

 南太平洋のトンガ近隣海域は、済州島(チェジュド)から直線距離で8400キロメートル離れている。この海域では、韓国時間14日午前2時ごろ、海底火山が初の噴火を始め、15日午後1時ごろ津波を発生させた。韓国気象庁は16日、済州地域と南海岸はトンガ地域の火山噴火の影響は大きくないだろうと予想した。最大15~20センチメートル程度の海面変動はあるが、通常の変動といえるレベルだと判断したのだ。気象庁地震火山監視課のハム・インギョン地震専門分析官は「『津波警報』が発令された日本と違い、南海岸や済州は距離がもっと離れており、水深が深いため」と説明した。

 トンガプレートと呼ばれるケルマデックプレートは南西太平洋にある。トンガの右側にある海溝に沿って太平洋プレートがトンガプレートの下に入るため、伝統的に火山活動が活発な地域だ。釜山大学地球科学教育科のユン・ソンヒョ教授は16日、「トンガ海溝も日本の東側にある海溝のように海底で火山活動が活発なところ」だと説明した。特に注目すべき火山ではないという説明だ。今回の噴火は海底で発生したため、粉じんの影響は少なかった。

火山活動が活発なトンガプレートでの海底火山噴火

 火山活動は地球内部のエネルギーの流れによる自然な状態が反映されて現れる。このため、予測が不可能だ。しかし、過去の火山活動の統計を通じて、今世紀に大規模な火山噴火の発生可能性を警告した科学者たちがいる。

 昨年8月に公開されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書第1実務グループの報告書では、「過去の気候と観測証拠に基づき、21世紀のうち少なくとも1回は巨大な火山噴火が発生する可能性(66~100%)が高い」と指摘した。同報告書は「このような噴火は地球の地表面の温度および降水量を1~3年間減少させ、モンスーン(季節風)の循環や大規模降水など、多くの気候因子を変えるだろう」と警告した。

 同報告書の総括主著者として参加した釜山大学校気候科学研究所イ・ジュ二教授は16日、「トンガの海底火山レベルではなく、1991~1993年に噴火したフィリピン北地域ピナツボ火山レベルの大規模噴火が起きる可能性がある」とし、「最近の多様な火山活動統計と気候資料によると、今世紀にそれに匹敵する規模の火山が1回は発生する可能性がある」と説明した。

 1991~1993年のフィリピンのピナツボ火山では当時、火山灰と二酸化硫黄などが高さ10~50キロの成層圏まで高く噴出するほど、大規模噴火が起きた。当時噴出した粉じんが大気を覆って太陽エネルギーが吸収されず、世界的に平均気温が0.4度低くなるほどだった。

 このほかにも、数千人から数万人の人命被害を出した大規模噴火は、1883年のインドネシア・クラカタウ火山、1902年のグアテマラ・サンタマリア火山、1963年のインドネシア・アグン火山、1982年のメキシコ・エルチチョン火山などで発生した。

 IPCC第6次報告書の著者として参加した浦項工科大学環境工学部のミン・スンギ教授も「過去の火山噴火時点などの統計を見る限り、1世紀に一度の割合で地球全体の気候に影響を及ぼすほどの大規模な噴火が起きてきた」とし、「2~3年程度温度が下がってからすぐ回復するため、温暖化傾向は変わらないというのが報告書の主なメッセージ」だと説明した。

 科学界では白頭山(ペクトゥサン)も近いうちに噴火する可能性がある火山と見られている。ミン教授は同日、「白頭山爆発の可能性についても世界が注目しているが、研究はあまり行われていない。946年に大規模噴火があったという記録から、1千年に1回爆発する可能性があると見て、爆発する可能性があると予想されるだけ」だとし、「当時は冬に噴火したとされ、強い北西風の影響を受けた。 そのため、粉じんが成層圏まで高く舞い上がらず、東側にある日本の北海道に渡った。しかし、もし新たな噴火が夏に発生した場合は、対流作用によってさらに高く舞い上がり、近隣地域だけでなく地球規模で影響を与えることも考えられる。この場合、地球の気候全般にも影響があるだろう」と説明した。

チェ・ウリ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1027482.html韓国語原文入力:2022-01-16 15:12
訳H.J

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