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[Q&A]コロナよりインフルエンザの方が怖い?…防疫当局が選んだ9つの誤解

登録:2022-01-05 01:09 修正:2022-01-05 08:49
[コロナ、ワクチン接種、ソーシャル・ディスタンシングに対する誤解]
圏域ごとにファイザーのコロナワクチン接種が始まった昨年3月3日、忠清南道天安市東南区清堂洞の屋内バドミントン場に設けられた中部圏域予防接種センターで、順天郷大学天安病院の医療陣が医療機関の従事者にワクチンを打っている=天安/リュ・ウジョン記者//ハンギョレ新聞社

 ここのところ防疫政策に関連する根拠のない誤解が広がっていることから、防疫当局は積極的に釈明に乗り出した。「インフルエンザウイルスの方が新型コロナウイルスよりも毒性が強いのに、インフルエンザの流行時期には防疫パスや社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)は実施されたことがない」などの主張に対し、積極的に反論したのだ。中央災害安全対策本部が選定した9つの誤解と、それに対する回答をまとめた。

-インフルエンザはコロナよりも危険なような気がするが、なぜインフルエンザが流行している時には全国民ワクチン接種やソーシャル・ディスタンシングが実施されてこなかったのか。

 コロナウイルスのことをインフルエンザと同じだと考えてはならない。インフルエンザの致命率は0.05%に過ぎないが、コロナの累積致命率は1%に迫る。ワクチン接種、ソーシャル・ディスタンシング政策を実施中にもかかわらず、少なくとも10倍以上の致命率を示している(中央災害安全対策本部のチョン・トンリョン総括調整チーム長)。

-ソーシャル・ディスタンシングは世界のどこにも見られない一方的な封鎖措置だ。効果的だという証拠はない。

 ソーシャル・ディスタンシングの効果は明らかにあり、世界的にも証明されている。デルタ株出現以降は伝播速度が非常に速い。世界の大半の国がソーシャル・ディスタンシング政策を並行している。マスク着用などの個人による衛生守則の順守、迅速かつ正確な疫学調査、ワクチン接種による免疫獲得だけでは不十分だ。ソーシャル・ディスタンシングの並行は欠かせない。ソーシャル・ディスタンシングを強化せずに流行を抑制した国はない。韓国の例を見ても、11月1日にソーシャル・ディスタンシングを緩和して以降は感染者が増加したが、ソーシャル・ディスタンシングを強化したことで拡散は弱まっている。

-ソーシャル・ディスタンシングに効果があるのなら、2020年5月3日(ソーシャル・ディスタンシング政策の開始日)以降は感染者が減っていなければならないはずだ。

 ソーシャル・ディスタンシングにも時期によって強弱があった。流行が緩和すれば弱めた。もし、長期にわたって強度を非常に高いレベルに保っていたなら、流行の様相は変わっていたかもしれない。ソーシャル・ディスタンシングと日常回復のバランスを取っていく過程だった。流行の振幅はあり得るが、ソーシャル・ディスタンシング政策の効果がないわけではない。

-ワクチン接種率が85%を超えればソーシャル・ディスタンシングは緩和するのが常識だが、むしろ強化している。ワクチンには効果がないということを意味するのではないか。

 ワクチン接種群の方が感染も少なく、重症、死亡もはるかに少ない。12月第2週現在で、接種を受けていない人の感染リスクは2次接種者の2.3倍。重症リスクは11倍、死亡リスクは19倍だ。11月1日のソーシャル・ディスタンシング緩和後、60歳以上の感染者の割合は35%にまで上昇した。療養施設を中心として接種を速やかに実施した結果、現在は20%台前半にまで低下している。実証的にワクチンの効果を立証する多くの根拠がある。

-正常な免疫システムを持った人は、マスク着用さえ徹底すれば感染確率がゼロに収束するのでは。

 外国の研究は、マスク着用には効果があるという結果を示すものが大半だ。感染をどれだけ予防するかについては様々だ。小さくて10%、大きくは50%というものもある。ただ、マスクだけで全ての感染を予防できるわけではない。マスク着用さえすればワクチン接種やソーシャル・ディスタンシングは必要ないというのは行き過ぎた期待だ。

-ウイルスの目的は自己複製だ。ワクチン接種、ソーシャル・ディスタンシングで圧力を加えれば感染力の強い変異種を作り出す。結局はワクチンの効果が下がり、ソーシャル・ディスタンシングの緩和と強化を際限なく繰り返す悪循環に陥るのではないか。

 ウイルスは広がれば広がるほど変異圧力を受け、新たな変異株が発生する可能性が高くなるのは確かだ。だが、ウイルスの拡散と変異を抑制するためには、すべての人口集団がワクチンを迅速に接種しなければならない。特にmRNAワクチンは、ウイルスが変異を起こしても、短期間でその変異株に合う新たなワクチンを開発できる。ワクチンを導入しなかったと仮定したとする。コロナ流行初期には中国、欧州などで感染者、死者が非常に多く発生した。類似の現象が続いていたはずだ。

-ワクチン接種による人工免疫には感染予防効果がなく、あるのは副作用のみだ。方法は自然免疫のみなのに、ソーシャル・ディスタンシングの強化は自然免疫の抗体形成には役立たないのでは。

 自然免疫の方が人工免疫より優れているとは言い難い。両免疫の持続期間と効果については、相反する結果を示す研究が多くある。ただし留意すべき点がある。感染によって経験する症状の程度によって、獲得される免疫の水準も異なるという点だ。ウイルス感染後に経験する症状が弱ければ、形成される免疫の水準も低くなるということだ。もし感染後の症状が軽く、そのまま治ってしまったら免疫の防御効果は低い。逆に症状が重く、高い免疫を獲得することになったとしても、深刻な症状によって疾病を得ることもありうる。

-ワクチン接種者の方が自然免疫を獲得した未接種者より再感染リスクが6倍も高いという研究結果がある。防疫パスには効果がないという証拠ではないか。

 相反する結果を示した報告もある。明らかなことは、自然免疫であれ人工免疫であれ、永久には続かないということだ。両者とも再感染の確率が有意に高まっている。どちらか一方が優れているとは言えない。ただワクチン接種では、効果の持続期間が比較的明らかだ。自然免疫の場合は、いつ免疫力が低下し、危険にさらされるのかが正確に把握しにくい。そのため、ワクチン接種を通じて集団的な免疫水準を高めているわけだ。

-基礎疾患とは関係なしにコロナで死亡した人は169人。全人口の0.0003%に過ぎない。国家的に多大な損失をもたらす防疫対策は非合理の極みではないか。

 コロナが危険なのは、基礎疾患を悪化させる方向へと作用するからだ。2021年12月23日現在のコロナによる死者は5015人。基礎疾患を持つ人が4800人、基礎疾患が確認されなかった死者が169人、基礎疾患があったかどうかを調査中の死者が46人だ。国ごとにコロナによる死者の統計基準は異なる。基礎疾患抜きにコロナの影響だけを見る国もあり、韓国のように基礎疾患の悪化で死に至るケースもコロナによる死者とみなす国もある。基礎疾患者は、コロナに感染していなければもっと長く生きていただろうと予想される。4800人の基礎疾患のあった死者を統計から除けば、コロナが及ぼす影響を実際より過小評価することになりうる。

アン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1025964.html韓国語原文入力:2022-01-04 17:37
訳D.K

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