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前在韓米軍司令官の本音と建前

登録:2021-12-28 07:40 修正:2021-12-28 08:31
「韓国軍の軍事能力は遅れている」 
「連合作戦計画に中国への対応策も含めなければならない」 
 
エイブラムス前司令官の言葉通りに「連合作戦計画」を立てると 
中国軍との戦闘も辞さないという意味に 
戦作権などで米国の利害を強く代弁 
国防部も「個人の意見にすぎない」と一線を画す
昨年11月のロバート・エイブラムス在韓米軍司令官=在韓米軍提供//ハンギョレ新聞社

 ロバート・エイブラムス前在韓米軍司令官は25日、「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」とのインタビューで、戦時作戦統制権(戦作権)の移管に関連し、韓国軍の軍事的能力は遅れていると評価した。今月初めに韓米が最新化することで合意している連合作戦計画に、中国への対応策を含めなければならないと主張した。文在寅(ムン・ジェイン)政権の終戦宣言の推進については、「何を得ようとするものなのか、明確ではない」と述べた。韓国の保守マスコミは、発言を大きく報道した。

 2018年11月から今年7月まで、韓米連合司令官・在韓米軍司令官・国連司令官を務めた彼は、なぜこのような発言をしたのだろうか。

 韓米の安全保障事情を幅広く知っている前韓米連合司令官として、朝鮮半島の平和を守ろうとする忠実な気持ちで語った話であれば、私たちはそのまま言葉を受け止めるべきであろう。しかし、米国の統合参謀本部の統制を受ける前職の在韓米軍司令官として述べた話であれば、本音を考えながら聞かなければならない。在韓米軍司令官は、米国の視点で考え、米国の利益を守らなければならないからだ。彼の発言には、米国の利益と在韓米軍司令官の見解が強く反映されている。

 最新の連合作戦計画に中国への対応策を入れるとなると、普段から韓米は中国の脅威に備え、韓米連合軍の部隊配置や中国軍の戦略目標の破壊などを連合作戦計画に具体的に明記し訓練しなければならない。韓国軍50万人が中国を包囲しようとする米国の最前線に動員され、有事の際には中国軍と戦闘まで辞さないという意味だ。しかし、そのような状況を韓国は気軽に受け入れることができるのか。そのため、国防部のプ・スンチャン報道官は27日の定例会見で、エイブラムス前司令官の「連合作戦計画に中国への対応」をという主張については「個人の意見にすぎない」と一線を画し、「(発言の)意図がわからない」と不快感を示した。

 戦作権の移管時期に対する米政府の立場は、状況によって変わった。

 「2006年、当時のブッシュ政権は、韓国軍の能力は十分だという理由で、2009年初めに戦作権の移管を主張」(世宗研究所のキム・ジョンソブ副所長)したが、韓国内の安全保障に不安をもつ世論を意識した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、2012年4月17日に時期を遅らせた。そのため、2007年から韓国が投資した国軍戦力の増加費だけでも、累積規模で160兆ウォン(約15兆5000億円)を超える。

 しかし、現在の米国政府は、中国を牽制するために「戦作権移管は時期尚早」という主張を掲げている。さらに、歴代の米国陸軍は戦作権の移管に否定的だった。戦作権の移管後に連合司令官を韓国軍が担当するとなると、米陸軍の四つ星将軍の職務一つが危険になる状況と無関係ではないと考えられる。戦作権移管は、能力の問題ではなく選択の問題だとみなさなければならない。エイブラムス前司令官の発言は、米国政府と利害関係者の利益を代弁している。言葉をそのまま受け止めるのではなく、言葉の裏を読まなければならない理由だ。

クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/1025014.html韓国語原文入力:2021-12-28 04:59
訳M.S

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