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児童性暴力被害者を加害者の前に立たせて追及?…女性団体、憲法裁決定に抗議=韓国

登録:2021-12-25 10:34 修正:2021-12-25 12:01
24日、女性団体ら「憲法裁決定に対する抗議記者会見」 
「未成年被害者が被告側の暴力的な反対尋問に無防備にさらされる」 
「被害陳述映像」の証拠不認定に「社会的合意に逆行」 
「提示された代案も、児童の法廷での2次被害を防ぐことはできない」
24日午前10時、ソウル市鍾路区の憲法裁判所正門前で、韓国性暴力相談所、韓国女性の電話、タックティーン明日児童青少年性暴力相談所など17の女性団体所属の活動家が集まり、前日に出された憲法裁の決定を糾弾している=パク・コウン記者//ハンギョレ新聞社

 クリスマスイブの24日午前10時、ソウル鍾路区(チョンノグ)の憲法裁判所正門前。韓国性暴力相談所、韓国女性の電話、タックティーン明日児童青少年性暴力相談所など17の女性団体に所属する活動家約10人が集まった。前日23日に出された憲法裁判所の決定に抗議するためだ。憲法裁は、19歳未満の性暴力被害者の映像録画陳述を証拠として認める現行の「性暴力犯罪の処罰などに関する特例法」(以下、性暴力処罰法)第30条6項が「被告人の防御権を侵害する」とし、違憲決定を下した。これまで19歳未満の性暴力被害者には、捜査・裁判の過程で2次被害にさらされるのを防ぐために陳述を録画し、これを法廷で証拠として採択することが性暴力処罰法によって認められてきた。しかし、今回の違憲決定により、これからは19歳未満の性暴力被害者も直接法廷に立って被害を陳述し、被告側の反対尋問も受けなければならない状況になった。

 この日記者会見を行った諸団体は、今回の決定をこれまでの社会的合意に逆行した退行的判断だと指摘した。同団体は記者会見文を通じて「これまで反性暴力運動を通じて、被告人の防御権保障だけでなく被害者の保護と権利保障も重要な人権であり、国家の役割であることを強調してきた時代的変化に逆行した」とし、「これから未成年の被害者たちは、性暴力事件と無関係な過去の履歴についての質問、被害に対する疑い、時には暴力的ですらある被告人側の反対尋問にそのままさらされる状況になった」と強く糾弾した。

 憲法裁が多数意見で違憲決定を下しつつ提示した主な根拠に対しても、一つ一つ反論した。憲法裁は、被告の反対尋問権が排除された未成年被害者の映像録画陳述を証拠として認めれば、(1)実体的真実の発見を脅かす恐れがあり、(2)被告の反対尋問権を尊重しながらも未成年者を保護しうる「調和のとれた代案が存在する」と判断した。

 同団体らは「性暴力事件での実体的真実は、被告人の反対尋問権を保障したからといって得られるものではない」と反論した。捜査・裁判過程での2次被害を懸念して告発しなかったり、裁判過程でトラウマが蘇り消耗したために、告訴を続けることができなくなるということが十分に起こり得るからだ。この日の会見で発言者として立ったタックティーン明日児童青少年性暴力相談所チーム長のチョン・ヒジン氏は「加害者弁護士は被告人の無罪を立証するか刑量を減らすために、事件と無関係な児童・青少年の品行問題を浮き彫りにする。これは成人(被害者)でも耐え難いことだ」とし「今回の憲法裁の決定は、児童も加害者側弁護士のこのような反対尋問を受けることになるということを意味する。どの養育者(保護者)が、子どもがこれに耐えられると思って通報できるというのか。もどかしいばかりだ」と述べた。

 憲法裁が提示した「調和のとれた代案」も、被害者を保護するには限界が明らかだと指摘した。憲法裁は、証拠保全手続きやビデオ中継装置による尋問などをこの代案に掲げた。これに対し、シン・スギョン弁護士(韓国女性弁護士会)は、「陳述を法廷で実施し証拠能力を認めるという証拠保全制度は、被告の反対尋問が依然として可能であるため、2次被害の防止には全く役立たない。また、現在オンライン画像による証人尋問も実務的に具現化されていない」と指摘した。さらに「憲法裁が提示した調和のとれた案というのは現実とかけ離れている。果たして憲法裁は現在の児童性犯罪捜査・裁判の実務に対する理解があるのか、2次被害が児童にどのような影響を及ぼすのかについて深く考えたのか、改めて問いたい」と述べた。

 シン弁護士はまた、「国連経済社会理事会決議」を引用し、憲法裁の決定の不当さを糾弾した。「犯罪被害児童および目撃児童が関連する事件における司法指針」は、「法体系および被告の権利の尊重と両立できるのであれば、児童被害者および証人が加害者(と主張された者)の反対尋問を受けないように保障されなければならない。必要に応じて、児童被害者と証人は法廷で加害者の視野から外れて陳述し、加害者と分離した控え室および非公開インタビュー空間が提供されなければならない」と規定している。児童に対する反対尋問をできる限り禁じることを勧める指針だ。英米圏では強姦被害者保護法(rape shield law)によって、性犯罪裁判で被告側が被害者の行動(sexual history)などを取り上げて攻撃することを禁じている。韓国性暴力相談所のキム・ヘジョン所長は、本紙の電話取材に対し、「外国のように被害者に対する人身攻撃、冒涜の性格を帯びる質問をどう防ぐかについての現実的な考慮はなく、被告の反対尋問権だけを重要視した今回の決定は、事実上法廷で発生する2次被害を放置するという意味にほかならない」と指摘した。

パク・コウン、チェ・ユナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/women/1024699.html韓国語原文入力 : 2021-12-24 22:09
訳C.M

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