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イ・ジェミョン大統領選候補「全斗煥、経済では成果」発言で物議

登録:2021-12-13 09:33 修正:2021-12-13 10:50
大邱・慶尚北道で保守票を意識 
全斗煥氏の「功罪」など発言し物議 
「状況によって言行を変えるのか」批判も 
 
「3低好況の機会生かし、能力ある官僚を選んで 
経済成長を遂げたのも事実」繰り返し主張
民主党のイ・ジェミョン大統領選候補が12日、慶尚北道金泉市の秋風嶺サービスエリアの京釜高速道路記念塔を訪問している。この記念塔は、韓国の高速道路の第1号サービスエリアで京釜高速道路のソウル~釜山の中間に位置し、朴正煕政権の成果として記録される京釜高速道路建設事業の象徴だ/聯合ニュース

 共に民主党のイ・ジェミョン大統領選候補の「全斗煥(チョン・ドゥファン)の経済成果を認める」発言をめぐり、政界内外で波紋が起きている。与党内でも「虐殺者の功罪を再評価すること自体が不適切だ」という批判とともに、最近続いているイ候補の「前言覆し」を指摘する声が多く聞こえる。

 イ候補は12日、自身の「全斗煥発言」論議について、「韓国社会の最も深刻な弊害は、白黒論理、陣営論理だ」とし、「事実自体を否定すれば、社会が不合理に陥ることになる」と述べた。さらに「すべてが100パーセント間違っていたとはいえない部分があり得る。そのうちの一つとして、3低(ドル安、原油安、低金利)好況の機会を逃さず、それなりに能力のある官僚を選んで任せたおかげでとにかく経済成長を遂げたのも事実」と述べた。

 これに先立ち、イ候補は11日に慶尚北道漆谷(チルゴク)の多富洞(タブドン)戦跡記念館での即席演説で「全斗煥氏も功罪が併存する。全体的に見れば3低好況をうまく活用し、経済が崩壊しないよう、経済がきちんと動くようにしたのは成果だ」とし、「ただし、国民が任せた銃刀で国民の命を脅かした行為は、どんな理由でも許されることができず、決して二度と繰り返されてはならない重大犯罪だ。そのため、決して尊敬されることはない」と述べている。前日に続き全斗煥氏の「経済成果は認めるべき」という主張を続けたもので、全氏を非難していた従来の立場よりも柔軟な態度を取ったものだ。

 しかし、国民の力のユン・ソクヨル大統領選候補は「軍事クーデターと光州5・18を除けば、政治はよくやったと評価する全羅道の方々が多い」と発言し、国民的な公憤を買って、謝罪した経緯がある。軍事反乱を通じて政権獲得に成功した全氏が、暴力的鎮圧で多くの光州市民を虐殺し、これに対する光州市民のトラウマが依然として残っている状況で、全氏の功績を言及すること自体が不適切だという指摘が多かったためだ。当時、イ候補もユン候補の「全斗煥妄言」を強く批判した。イ候補は10月22日、光州市の望月洞(マンウォルドン)墓地で、ユン候補の発言に向けて「殺人・強盗を犯したという事実だけを除けばいい人かもしれないというなら、ほかに何が言えるのか」「わが国民は虐殺者・全斗煥を忘れておらず、ユン候補が全氏を擁護した発言も許すことができない」と明言した。イ候補は当時、墓地の入口に埋められた「全斗煥石碑」を何度も踏みつけた。先月28日の光州訪問の際には、「光州虐殺の主犯である全斗煥を称賛し国民を尊重しない人が、韓国を導いていくことはできない」「哲学も、歴史認識も、準備もない候補に国と国民の運命を任せることはできない」と攻撃した。

 イ候補が相次いで言及した全斗煥氏の「経済成果」も、当時の労働状況を度外視したものという批判も出ている。当時の好況は世界的なドル安、原油安、低金利(3低好況)など外部環境の中で、全斗煥政権が民主労総を破壊し低賃金を強要するなど、労働者に苦痛を一方的に押し付けた結果という評価が支配的だ。

 イ候補の「全斗煥言及」は、中道・保守の票をつかむという戦略から出た発言とみられる。イ候補は今回の大邱・慶尚北道訪問期間中ずっと「保守票」にこだわる様子だった。イ候補は朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領を「評価は分かれるが、大邱・慶尚北道が生んだ非常に際立つ政治家」と持ち上げ、李承晩(イ・スンマン)元大統領に対しても「農地改革をしたことだけは称賛に値する」と述べた。

 正義党のシム・サンジョン候補はこの日、フェイスブックへの書き込みを通じて「すべての国民が憤る内乱犯罪者、一抹の反省もなく世を去った虐殺者の功罪をあえて再評価しようとするのは、選挙戦略ともいえない」とし、「全斗煥が政治はうまくやったと言うユン・ソクヨル、全斗煥が経済はうまくやったと言うイ・ジェミョン、この人たちの話だけを総合すると、全斗煥氏は今からでも国立墓地に埋葬場所を移すべきだということのようだ」と批判した。「文在寅(ムン・ジェイン)政権と差別化しようとするあまり、国民の力の候補になろうとしている」とも述べた。国民の力のファン・ギュファン選対委報道担当は論評で「発言覆しが日常になってしまったイ候補が、もはや前職大統領に対する評価までも手のひらを返すように変えている」とし「これが全斗煥元大統領の石碑まで踏んで嘲弄したイ候補なのか、目を疑う」と明らかにした。

 今回の物議で、党の内外ではいわゆる「イ・ジェミョン式柔軟性」に対する再点検が必要だという声も出ている。従来の強硬イメージから脱しようとする戦略だが、イ候補が手のひらを返すように哲学と所信を変えているという批判が出ているためだ。龍仁大学のチェ・チャンリョル教授は「政治家の発言はある程度一貫性を維持しなければならないが、票を意識しすぎて発言をしょっちゅう覆し、政治的所信がないような印象を与える」と述べた。ある民主党の重鎮議員は、本紙の電話取材に対し、「国民葬も受けられないほど大統領の礼遇も受けられないような人物なのに、功績を語るのは度を過ぎたことだ」とし、「いくら票が欲しいといっても、我々が根拠を置いている価値があり、限界があるものなのに、非常に間違った発言だと思う。大統領を混ざ巣人としてはきわめて不適切な発言だ」と述べた。

シム・ウサム、イ・ジェフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1023012.html韓国語原文入力:2021-12-13 02:33
訳C.M

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