本文に移動

与党のイ・ジェミョン候補「軍事政権同様、検察政権も決してあってはならない」

登録:2021-12-06 05:41 修正:2021-12-06 07:00
「メタバス」に乗って全羅北道巡回 
ユン候補の当選はすなわち「検察政権の出現」と規定 
「私的復讐のための政治容認できない」 
 
光州、全羅南道に続き、週末に全羅を巡回 
「生活を改善できる人を選んでほしい」と支持訴え 
20%以上占める全羅道の浮動票を狙った動き
共に民主党のイ・ジェミョン大統領選候補が今月5日、全羅北道井邑市のセムゴウル市場で、市民に手を上げて挨拶している/聯合ニュース

 週末の日程で3日間全羅北道を訪れた共に民主党のイ・ジェミョン大統領選候補が5日、「検察のための、検察による、検察の国家になってはならない」とし、「軍事政権が許されないように、検察政権も決してあってはならない」と述べた。また「私的復讐のため、審判のため、私的利益のために政治が存在してはならない。今よりも良い政府、より良い生活を目指すイ・ジェミョン政権が必要だ」と述べた。国民の力のユン・ソクヨル候補の当選を「検察政権の出現」と規定し、ユン候補の政権が文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する復讐につながる可能性があるとして、有権者に自分を選んでほしいと訴えたのだ。

 イ候補は全羅北道を訪れた「メタバス(毎週乗る民生バス)」3日目の同日午前、井邑(ジョンウプ)セムゴウル市場を訪れ、「国民の生計問題が最も重要であり、国民の暮らしを考えることが最も重要だ」とし、「過去に向けて復讐することは個人的なこと」だと述べた。さらに「我々は軍事政権を憎んできたが、今再び多くの元検事たちで作られた勢力が来年の選挙で勝って検察国家作りを目論んでいる。これを容認して良いのか」とも発言した。ユン・ソクヨル候補が、政権交代世論に後押しされ、検察組織などのための私的な復讐のための政治をしていると批判したのだ。

 イ候補は最近、「国民の意思に反して強行するつもりはない」と述べ、撤回の議論が起きている基本所得(ベーシックインカム)公約について、「論争が多く、すぐには施行できないとしても、将来いつかは必ず進めなければならない」と述べ、反労働的な見方を示しているユン候補を批判した。イ候補は茂朱(ムジュ)での演説で「誰かは『週120時間働こう、最低賃金をなくそう、52時間制を廃止しよう』と言うが、全世界で最も長く働き、労働生産性が最も低く、労働災害で死ぬ人が最も多く、労災率が最も高い不幸な国(が韓国)だ。このような国になってはいけないのではないか」と述べた。最低賃金の引き下げを主張し、週52時間制に反対するユン候補に向けた発言だ。またイ候補は地域通貨を支給する形で来年から京畿道でテスト実施される「農村基本所得」を、郡や道の申請を受けて施行する案も提示した。

 先月26日から4日間、光州(クァンジュ)をはじめとする全羅南道を訪れたイ候補が、4日たって全羅北道を巡回しながらこうした発言をしたのは、接戦が予想される来年の大統領選挙で勝利するためにはまだ完全に開いていない全羅道民の心をしっかり掴んでおかなければならないという判断によるものとみられる。イ候補は「長年の宿題を解決する有能な行政家」として、地域の懸案を解決すると約束した。前日、金堤市(キムジェシ)の韓国農漁村公社を訪問し、「(セマングム開発事業の方向性と海水流通をめぐる賛否論争を)利害関係のあるすべての方々と国民討論会を開いて解決する」と述べた。南原(ナムウォン)医療院では医師たちの反発にあって宙に浮いている「国立公共保健医療大学院(公共医科大学)」の設置問題について、「政府がすでに約束したものだ。できるだけ早期に施行するのが望ましい」と釘を刺した。

 また「全羅北道は全羅道の中でも疎外された地域」だとし、「全羅北道が持つ疎外感を緩和し、全羅北道も首都圏のように豊かに暮らせる機会を作る」と強調した。全羅北道のある議員は「これまで大統領選挙のたびに光州を訪問してから全羅北道を訪れたことで、『私たちは脇役か』という不満が多かった」とし、「今回は光州と全羅南道ほど全羅北道にも時間を割いており、(大統領選候補が)人口2万人ほどの郡を訪問したのも今回が初めて」だと述べた。

 光州・全羅南道と全羅北道を分けて巡回するほど、イ候補が全羅道に力を入れている理由は、20%を超える浮動層の割合のためだ。韓国ギャラップの12月第1週の大統領選候補適合度調査によると、全羅道では「(誰を支持するか)まだ決めていない」という回答が21%だった(イ・ジェミョン支持58%、ユン・ソクヨル支持12%)。これは全国平均(15%)より6ポイント高く、20%を越えた所も全羅道が唯一だった。共に民主党が伝統的な票田としてきた全羅道で支持を留保した浮動層が多く存在するということは、イ候補にとっては危機であり、機会でもある。

 党内部では「メタバス」の企画で支持率上昇効果が現れると期待している。民主党選挙対策委員会関係者は「イ・ジェミョンというと、怖くて荒っぽいというイメージがあると言われてきたが、実際に会ってみるとそうではないということで、有権者たちの考えが大きく変わっている」とし「イ李候補が地域を訪問した後、消極的な支持層が反応を示しているようだ」と述べた。

井邑・茂朱/チェ・ハヤン記者、ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1022067.html韓国語原文入力:2021-12-05 21:56
訳H.J

関連記事