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韓国政府、陜川に「韓国人原爆被害者追悼施設」の設立を推進…「歴史教育に活用」

登録:2021-11-05 02:01 修正:2021-11-05 08:46
福祉部の韓国人原爆被害者支援委員会で審議 
登録された原爆被害者4404人、生存者2043人
1千人あまりの原爆被爆犠牲者の位牌が祀られている慶尚南道陜川郡の原爆被害者慰霊閣を青少年たちが参拝している=キム・ボンギュ記者//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は、1945年に日本の広島と長崎に投下された原爆が原因で命を落とした人々を追悼する施設の建設を、慶尚南道陜川郡(ハプチョングン)で進めることを決めた。

 保健福祉部は4日午後、ソウル中区(チュング)のソウルシティタワーで韓国人原子爆弾被害者支援委員会(以下「委員会」)を開き、このような内容の追悼施設設立推進計画を審議したと発表した。委員会は原爆被害者(被爆者)の実態調査を行うとともに、支援に必要な内容を審議・議決するため、2017年に設置された。根拠法は2016年に制定された「韓国人原子爆弾被害者支援のための特別法(原爆被害者法)」

 原爆被害者法は、原爆投下時に日本の広島、長崎地域にいた人▽原爆投下時から2週間以内に爆心地域から3.5キロ以内にいた人▽原爆投下時とその後の死体処理および救護に従事するなどの理由で放射能の影響を受けた人▽被害事由に該当する当時は胎児だった人、などを被害者と規定している。現在、大韓赤十字社に登録されている被爆者は4404人(今年6月30日現在)で、うち生存者は2043人。

 今回の会議で委員会は、原爆被害者の実態分析および保健福祉欲求調査の研究結果を報告した。それによると、原爆被害者は被害から75年経った今でも病気などで苦しんでいた。韓国保健社会研究院が健康保険請求資料や国家がん登録資料、死亡登録資料などの公共資料を用いて分析(2019年7月~2020年3月)したところ、原爆被害者だけでなく被害者の子どもでも、放射能被ばくとの関連性が疑われる健康問題がみられた。原爆被害者とその子どもは胃がん、大腸がんなどのがん発生率が一般人口集団に比べて高く、希少難治性疾患、甲状腺疾患、慢性鼻炎、咽頭炎、副鼻腔炎、皮膚疾患、頭痛、気分障害、神経症性またはストレスと関係する身体の障害などの慢性疾患や精神神経系疾患の有病率も高かった。医療の利用と医療費の支出も、原爆被害者の子どもは一般人口集団に比べて多く、特に外来診療の利用率が高かったと委員会は説明した。福祉部は、原爆被害と疾病の因果関係、遺伝的影響を分析するための後続研究を進めている。

 委員会は、慶尚南道陜川郡(原爆被害者福祉会館および資料館付近)を追悼施設造成の優先考慮地域として審議した。陜川郡は現在、最も多くの原爆被害者(331人、生存者の15%)が暮らしている。クォン・ドクチョル福祉部長官は「痛ましい歴史の犠牲者たちを胸に刻み、原爆被害の傷と苦しみが少しでも癒されるよう、追悼事業の推進に万全を期す計画だ」とし「原爆被害者追悼施設を通じて正しい歴史認識を確立するとともに、人権および平和のための歴史教育の場として活用されるようにする」と述べた。

イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/1017955.html韓国語原文入力:2021-11-04 15:10
訳D.K

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