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反核平和運動家の故キム・ヒョンリュルさん。亡くなる3年前の2002年夏に撮った写真＝韓国原爆2世患友会提供//ハンギョレ新聞社

　「原爆による被爆の後遺症で先天性免疫グロブリン欠乏症という病気を患い、肺機能の70%を失って、死よりも苦しい人生を生きる私に、原爆と遺伝の因果関係を証明しろと強要するのは、明白な人権蹂躙行為です。原爆と遺伝の関連性を証明することは個人ではなく、国と社会が解決すべき課題です」

　2005年3月7日、反核平和運動家のキム・ヒョンリュルさんは、病床でこのように叫んだ。それから約80日後の2005年5月29日、彼は35歳の若さでこの世を去った。キムさんが亡くなってからもう16年が過ぎたが、被爆者の後遺症が子孫に引き継がれているという事実は依然として認められていない。

　「韓国原爆2世患友会」と「韓国原爆被害者子孫会」は29日午後3時、慶尚南道陜川郡（キョンサンナムド・ハプチョングン）の陜川原爆資料館で「韓国原爆2世被害者キム・ヒョンリュル16周忌追悼祭」を開く。

　1945年8月、日本の広島と長崎に原爆が落ちた時、韓国人約7万人も被爆し、4万人以上が命を失った。辛うじて一命をとりとめた韓国人のうち約2万3千人は終戦後に故国に戻ったが、そのほとんどは深刻な被爆の後遺症に苦しんだ。

　故キム・ヒョンリュルさんの両親も広島で被爆し生き残った原爆被害者だ。希少難治性疾患の免疫グロブリン欠乏症を持って生まれたキムさんは、2002年3月22日、被爆の後遺症を受け継いだ被爆2世という事実を明らかにし、自分と同じ境遇の被害者のために「韓国原爆2世患友会」を作った。キムさんの目標は原爆による被爆の後遺症が遺伝するという事実を公式に認めてもらうことだったが、志半ばで亡くなった。

　2013年、慶尚南道が道内の被爆者の子女244人の健康状態を調査したところ、13.9%（34人）が先天性奇形や遺伝性疾患を患っていた。先天性奇形は手や足、顔、肺、心臓などでみられ、耳がないケースもあった。調査対象の9.1%が障害者として登録し、全国障害者登録率（5%）の2倍に近かった。韓国国内の被爆者の子孫のうち、先天性奇形や遺伝性疾患に苦しむ人は約2300人にのぼるものと推定される。

　彼らの存在自体が、被爆の後遺症が遺伝することを証明しているが、被爆による影響の遺伝は依然として認められていない。慶尚南道や釜山市（プサンシ）、京畿道、慶尚南道陜川郡などは被爆者の子供たちのための支援条例を設けているが、被爆の後遺症の遺伝は公式には認められておらず、実質的な支援は受けていない。

　原爆2世患者を支援してきた「陜川平和の家」は、「被爆者1世はみんな70代後半以上の高齢なので、彼らに対する支援はこれから数十年以内に完全に終わることになる。しかし、被爆の後遺症が子孫に受け継がれるという事実を認めた瞬間、被爆者問題は終わりなき問題になる。日本と韓国政府が被爆の後遺症の遺伝を認めないのは、まさにこのためだ」と分析している。

韓国人被爆者約1千人の位牌が祀られた慶尚南道陜川郡の原爆被害者慰霊閣で、青少年たちが参拝している=キム・ボンギュ記者//ハンギョレ新聞社

　保健福祉部は昨年5月、被爆の後遺症が遺伝するかどうかを明らかにするために、政府レベルの研究を初めて開始した。被爆者の子孫の中で希少難病を患っている人が多い理由が被爆の後遺症の遺伝であることが明らかになれば、国際的に深刻な波紋を呼びかねない。しかし、コロナ禍で研究は事実上中止された状態だ。

　現行法では、被爆者を原爆が投下された時に広島と長崎にいた者と胎児に限定している。大韓赤十字社の集計によると、昨年末現在で生存している韓国内被爆者は約2千人、平均年齢は81歳だ。

　韓国原爆2世患友会のハン・ジョンスン事務局長は「多くの被爆者は自分が被爆の後遺症を患い、後遺症を受け継いだ子供たちの苦しみまで抱えて、二重に苦しんでいる。原爆2世患者の問題を人権問題として捉えるべきと主張するのもそのためだ。政府は被爆の後遺症の遺伝を公式に認め、原爆2世患者の自立のため、医療費や生計費などを支援すべきだ」と述べた。