ハンガリーを国賓訪問している文在寅(ムン・ジェン)大統領が3日(現地時間)、同国のアーデル・ヤーノシュ大統領と首脳会談を行い、両国関係を「戦略的パートナー関係」に格上げすることで合意した。1989年の盧泰愚(ノ・テウ)政権当時、「北方外交」を通じて東欧国家の中で初めてハンガリーと国交を結んで以来32年ぶりだ。当時、ハンガリーは経済難が深刻化し、銀行の借款などの提供を受けて韓国と国交を結んだ。
文大統領は同日、ブダペスト大統領府のマリア・テレジアホールで開かれた共同メディア発表で、「韓国の大統領として20年ぶりに国賓訪問することができ、嬉しく思っている」とし、経済協力の強化▽科学技術協力▽国際社会の気候・環境努力への貢献などを骨子とした首脳会談の結果を発表した。文大統領は「電気自動車(EV)用バッテリーなど未来の有望産業で両国の貿易が拡大されるよう共に努力する」と述べた。
アーデル大統領は「韓国とハンガリーの共通した部分は気候変動において二つある」とし、「いずれも2050年までにカーボンニュートラル(炭素中立)を約束しており、またカーボンニュートラルのためには原発エネルギー使用なしには不可能と見ていることも同じだ」と述べた。さらに「原発のほか、韓国は風力、ハンガリーも太陽光基盤の再生可能エネルギー政策を強化しており、今後この分野で協力することを提案した」と伝えた。
これに対して文大統領は、2050年のカーボンニュートラルまで原発の役割は続くが、新規原発は建設せず、設計寿命が終了した原発を閉鎖すると述べたと、大統領府のパク・キョンミ報道官が伝えた。さらに文大統領は「太陽光や風力、特に海上風力など新エネルギーと水素エネルギーの比重を高めることで、カーボンニュートラルを実現していく」としたうえで、「水素自働車や、水素燃料電池、水素エネルギーなど水素経済の活性化に向け、両国が新エネルギー分野における緊密な協力を成し遂げよう」と呼び掛けた。
現在、欧州では気候危機への対応など、炭素削減に向け、原子力発電についての再評価が行われている。暖房や炊事、発電などに使われていた石炭やガスなどのエネルギーを電気に転換しなければならない課題が大きくなり、原発に対する関心が再び高まっているのだ。これに先立ち文大統領は2018年にチェコを訪問した際も、チェコの原発建設に韓国企業が参加できるよう関心を持ってほしいと要請した。
一方、文大統領は、ドナウ川の遊覧船事故の収拾に協力したハンガリー政府に再び謝意を表した。文大統領は「昨日、ドナウ川の追悼空間を訪れ、2019年の船舶事故で亡くなった韓国国民26人とハンガリー国民2人を追悼した」とし、「事故収拾に全力を尽くし、犠牲者を記憶して悲しみを分かち合ってきた大統領とハンガリー政府、ハンガリー国民の皆さんに改めて感謝申し上げたい」と述べた。
文大統領のハンガリー国賓訪問は、金大中(キム・デジュン)元大統領の2001年訪問以来20年ぶりだ。ハンガリーのオルバン首相は2014年に、アーデル大統領は2015年に韓国を訪問した。大統領府は「電気自動車バッテリー工場など、ハンガリーに進出した韓国企業を支援し、欧州内の成長潜在力が大きいハンガリーとの協力を強化する意味がある」と説明した。