「電気自動車のバッテリーは新生成長事業であるため、世界的に人材が不足している状況です。外国で勉強している留学生まであらかじめチェックしています」
国内バッテリーメーカーの関係者が23日伝えた、バッテリー人材誘致の風景だ。企業ごとに競争力確保のため人材争奪戦を繰り広げているという話だ。
留学生の「青田買い」に乗り出した韓国バッテリー企業
電気自動車のバッテリーおよびバッテリー素材の大企業の最高経営者(CEO)らが最近、大挙して米国へと向かっている。SKイノベーションは来月2日、シリコンバレーのある米サンフランシスコで人材スカウトのためのフォーラムを開く予定だ。
元々SKは毎年グループレベルで国外採用行事を開催し、分野別に人材を採用してきた。主要系列会社のCEOが集まるスペック追求協議会内の人材育成委員会がこれを担当した。しかし、今回はSKイノベーションの未来戦略事業であるバッテリーとエコ素材分野の人材を取り込むため、初めて個別企業が行事を主導することになる。
行事にはキム・ジュン総括社長をはじめ、チ・ドンソプ・バッテリー事業代表、イ・ソンジュン環境科学技術院長、イ・ジャンウォン・バッテリー研究院長など、イノベーション経営陣が総出で挑む。米国でバッテリー分野の修士・博士課程で学んでいる韓国人留学生など予備人材を招待し、キム・ジュン総括社長が直接会社の未来事業計画などをプレゼンテーションすることにした。SKイノベーション人材開発室長のチェ・ギョンラク氏は「米国を皮切りに、今後は欧州、日本などに行事を拡大していく」と述べた。
これに先立ち、LG化学も17日、米ニュージャージー州マリオットホテルで採用行事を行った。シン・ハクチョル副会長、ユ・ジヨン最高技術責任者(CTO)副社長、キム・ソンミン最高人事責任者(CHO)副社長らが、米国現地のマサチューセッツ工科大学(MIT)、ジョージア工科大学、コーネル大学など10校余りの大学と研究所の韓国人修士・博士および学部生ら約40人を招待し、会社の青写真を紹介した。
世界2位の電気自動車バッテリー企業であるLGエネルギーソリューションの親企業であるLG化学は、バッテリー素材、エコ・バイオ素材、新薬開発などを独自の新事業として推進している。このうち、電気自動車のバッテリーに使われる正極材、分離膜など主要素材分野に、2025年までに6兆ウォン(約5630億円)を投資する計画だ。LG化学の関係者は「米国に留学中の人材と良い関係を維持し、卒業後にわが社に来てほしいという趣旨。多様な分野の人材が集まりやすいよう、中間地点であるニュージャージー州を行事場所に決めた」と述べた。
LGエネルギーソリューションのキム・ジョンヒョン社長も今月初め、米ロサンゼルスで現地の人材求人活動を行った。エネルギーソリューション側は「バッテリー事業部の分社前も親会社のLG化学で2000年代半ばから海外採用行事を行ってきたが、最近特にバッテリー分野の研究人材が非常に足りない状況」だとし「関連産業の成長が早いだけに、必要な人材も需要も多くなったが、(人材)供給は非弾力的なため」と説明した。
LGエネルギーソリューションでは、国内従業員8千人のうち2千人以上が研究・開発(R&D)分野で働く。国内で機械・電子・材料工学、化学科専攻者などを随時採用するが、依然として人材不足だという。
奪い奪われる人材争奪戦も熾烈…「中国転職は慎重になるムード」
ライバル会社より人材確保で優位に立とうとする業界の神経戦も熾烈だ。今年初めに合意したLGとSK間のバッテリー紛争も、LGで働いていた社員がSKに大勢転職する過程で、営業秘密である技術が流出したというのが問題の種だった。
債務不履行(デフォルト)の危機に置かれている中国2位の不動産開発会社・恒大集団は、電気自動車事業に進出し、SKイノベーションバッテリー研究所長を務めたイ・ジュンス元現代モービス専務やLG化学、サムスンSDI出身の人材などを大勢迎え入れたことがある。ドイツの自動車メーカーのフォルクスワーゲングループに電気自動車バッテリーを供給しているスウェーデンのノースボルトも、サムスンSDIなど韓国企業の技術陣を迎え入れるのに積極的だ。
あるバッテリー素材大手企業の関係者は、「中国の場合、かつて韓国のディスプレイ人材を多く引き抜いていってかなりの高待遇をするかのように約束していたが、1年も経たないうちに解雇されるなど、待遇がよくないといううわさが流れ、業界でも中国企業への転職には慎重な雰囲気だ」と語った。