本文に移動

「韓国軍にワクチン提供」米国の約束、8月の実機動訓練再開が狙いか

登録:2021-05-26 04:55 修正:2021-05-26 07:59
「大規模軍事訓練再開か」米国の軍事専門家が相次ぎ予測 
実機動訓練実施で、北朝鮮が核実験・ICBM発射の「猶予措置」覆す可能性も
2016年3月に行われた韓米合同軍事演習で、両国の兵士が慶尚北道浦項市松羅面祖師里の海岸一帯に上陸している=資料写真//ハンギョレ新聞社

 米国のジョー・バイデン大統領が21日(現地時間)の韓米首脳会談で韓国軍将兵55万人に新型コロナウイルスワクチンを供給すると約束したのは、8月に大規模な合同軍事演習を実機動演習として実施するための布石だという米国の複数の軍事専門家の分析が出た。

 米国のブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン上級研究員は24日、米国「自由アジア放送(RFA)」で、バイデン大統領によるワクチン供給の約束について「(このかん中断されてきた)大規模な韓米軍事演習が再開される可能性があると考えるようになった。そうなれば北朝鮮は、これまで維持してきた核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の一時猶予の立場をこれ以上続けないだろう」との予測を示した。米ランド研究所のブルース・ベネット上級研究員も「55万人のすべての韓国軍兵士が8月までにワクチンを接種すれば、8月にはコロナ拡散の危険なく実機動合同訓練を実施することが可能になる」と述べた。18日には次期韓米連合司令官兼在韓米軍司令官のポール・ラカメラ氏が、上院軍事委員会での人事聴聞会で「軍事的準備態勢を維持するうえで、実際の訓練の方が仮想訓練より当然望ましい」との見解を明らかにしている。米国防総省のカービー報道官は、これに関する放送での質問に対し「具体的な計画は明らかにしない」とし、具体的な言及を控えた。

 現在、文在寅(ムン・ジェイン)政権は、中断状態にある南北交流と朝米対話を再開するとともに、任期内に戦時作戦権の転換を終わらせるという「両立しがたい」2つの目標の達成に努めている。米国が求める戦作権転換のための「条件」を満たすには、毎年8月に行われる韓米軍事演習をできるだけ実機動演習として行わなければならないが、それは北朝鮮の大きな反発を招き、対話の機会が消える可能性がある。労働党中央委員会のキム・ヨジョン副部長は今年3月、韓米合同軍事演習が実兵力移動のない「指揮所訓練」に簡素化されたにもかかわらず、16日に抗議声明を出し「南朝鮮当局が我が共和国を狙った侵略的な戦争演習を強行する道へと足を踏み入れた」とし「3年前の暖かな春の日の再来は容易ではないだろう」との警告を発した。キム副部長はさらに、韓国が「対話を否定する敵対行為に意地を張ってしがみつく」なら、祖国平和統一委員会(韓国の統一部)の整理▽金剛山国際観光局などの関連機関の解体▽9・19南北軍事分野合意書の破棄など、南北関係の「完全な破綻」を意味する各種の報復措置を取ると脅してもいる。

 北朝鮮は、前任のドナルド・トランプ政権時代の2018年4月に朝米対話が始まると、朝鮮労働党第7期第3回全員会議を通じて核実験と大陸間弾道ミサイル発射の猶予措置を発表し、これを守っている。トランプ大統領は同年6月12日にシンガポールで開かれた初の朝米首脳会談で、挑発的な性格を持つ大規模な韓米合同軍事演習を中止すると述べ、これに応えた。以後、韓米は毎年3月と8月に実施してきた大規模合同演習を縮小・猶予・中止してきた。2020年以降はコロナ危機も重なったことで、演習はまともに行われていない。そのため韓米は、戦作権転換のために経なければならない手続きである完全作戦能力(FOC)、完全任務遂行能力(FMC)の検証評価が行えていない。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/996575.html韓国語原文入力:2021-05-25 15:08
訳D.K

関連記事